出勤簿は、労働関係の書類の中でも、労働者名簿や賃金台帳と並んで、労働基準法で作成および保存が義務付けられている大切な帳簿です。
日常の勤怠管理から給与計算だけではなく、雇用助成金の申請にも必要です。

この記事では、起業したばかりの事業主の方や新たに人事担当者になった方向けに、出勤簿の書き方や管理方法などをわかりやすく解説します。

出勤簿とは?

「出勤簿」は、「労働者名簿」「賃金台帳」と並び、「労働三帳簿」や「法定三帳簿」と呼ばれている重要な労働関係の書類です。

労働者名簿や賃金台帳とは違い、労働基準法に直接名称が記載されているわけではありませんが、第109条における「賃金その他労働関係に関する重要な書類」に該当します。

(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

労働基準法第109条|法令検索 e-Gov

「労働者名簿」や「賃金台帳」についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

>>労働者名簿の簡単な書き方|作成は会社の義務

>>賃金台帳の正しい書き方|給与明細で代用はNG?

出勤簿の作成義務は?

出勤簿は会社の規模にかかわらず、労働者を一人でも雇用していれば作成義務があります。
法人だけでなく、個人事業主も労働者を雇用している場合は作成しなければなりません。

残業時間などを正しく算出して給与に反映させるためにも、的確な記載と保存が求められます。

出勤簿の作成対象労働者は?

出勤簿の作成対象労働者は、雇用形態に関係なく、労働基準法第9条に定める「事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」が対象です。

特に注意すべきなのは日雇労働者で、労働者名簿では作成対象外であるものの、出勤簿では作成対象労働者に含まれます。
また、派遣労働者については、実際の勤務地である派遣先に作成義務があります。

なお、労働基準法第41条第2項で定められている管理監督者に関しては、作成対象とはされていませんが、安全配慮義務の観点から労働時間の把握が求められるため、作成するのが望ましいでしょう。

ワークデスク

出勤簿の書き方|テンプレートあり

出勤簿に関しては、必要な事項さえ記載されていれば特に決まった書式はなく、労働者名簿のように厚生労働省や労働局から所定のテンプレートも提供されていません。

参考までにテンプレートを用意しましたので、ダウンロードしてお使い下さい。
以下の個別項目も、テンプレートに沿って解説します。

出勤日及び労働日数

出勤簿ですので、当然出勤日および労働日数を記載しなければなりません。
実際に出社した日だけではなく、在宅リモートワーク(テレワーク)や出張日も記録する必要があります。

出張や集合研修などで終日オフィスに立ち寄らない場合でも、労働時間に関係なく記載しなければなりません。

日ごとの始業時間・終業時間・休憩時間

勤務日の「始業時間」「終業時間」「休憩時間」は、労働者ごとの賃金を計算する基礎になるため、正確に記録しなければなりません。

また、タイムカードやPCのログイン情報だけで機械的に処理するのではなく、実態に則した管理が必要です。

始業時間についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
>>始業時間前の仕事は残業?|勤怠管理で失敗しない方法を解説

時間外労働を行った日付・時刻・時間数

基本的には、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える部分について記載します。

ただし、変形労働時間制やみなし労働時間制を採用している会社では、それぞれ算定方法が異なるため、注意しなければなりません。

変形労働時間制についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
>>変形労働時間制の本当のメリット・デメリットとは?|各制度別に解説

みなし労働時間制についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
>>【5分で分かる】みなし労働時間制とは?残業代など基本を解説

休日労働を行った日付・時刻・時間数

ここで記載するのは所定休日ではなく、週1日もしくは4週を通じて4日の法定休日に労働した部分についてです。
つまり、36協定で定めた休日労働に該当する部分を記載することになります。

深夜労働を行った日付・時刻・時間数

深夜労働(22時~翌朝5時)の場合は、裁量労働制や管理監督者でも割増賃金の対象となるため、漏れのないように記録しなければなりません。

また、安全配慮義務の観点から、深夜労働の多い労働者の健康上の配慮は特に注意して実施する必要があります。

出勤簿の保存期間と注意点

出勤簿は、労働者の雇用環境や賃金支払い状況を示す重要な書類の一つであり、労働基準法で保存期間が規定されています。

特に、労働基準監督署の臨検の際には、ほぼ確実に出勤簿の点検が実施されるため、保存管理は慎重に行う必要があります。

出勤簿の保存期間は3年間|退職金対象者は5年

出勤簿は労働基準法第109条に基づく重要な書類であり、保存期間3年と義務付けられています。

保存期間の起算日は、当該労働者について、最後に出勤簿を記入した日(最後の出勤日)です。

退職したからといってすぐに出勤簿を破棄してしまうと、労働基準法違反になり30万円以下の罰金が課せられる可能性があるため注意が必要です。

なお、退職金の対象者である場合は、労働基準法第115条に規定する退職金請求権の時効が5年であるため、退職日から5年保存しなければなりません。

出勤簿の保管方法はエクセルなど電子データでもよい

出勤簿は必ずしも紙の書類として保管する必要はなく、Excelなどの電子データとして保管しても差し支えありません。

ただし、すべての事業場において、画面上にデータを表示し、すぐに印刷できる状態でなければなりません。

労働基準法第109条に規定する書類の保存について、下記のとおり取り扱うこととしたので、了知されたい。
ハ 電子媒体、ドライブ、媒体フォーマット、データフォーマット、データ圧縮等のデータ保管システムについて、記録された画像情報を正確に復元することができること。また、労働基準監督官の臨検時等、保存文書の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。

平成8年6月27日基発第411号

紙やエクセルなどによる出勤簿でも構いませんが、万一の書類紛失やデータ削除なども考慮し、クラウド型の勤怠管理システムなどで一元管理しておくと安心です。

出勤簿は捺印方式でも問題ない?

実態を正確に反映していれば、「シフト表」を活用した捺印方式であっても認められています。

労働時間が固定で、時間外労働がほとんど発生しない場合には、あらかじめ所定労働時間(始業~終業+休憩)が印字された出勤簿に、労働者が日々捺印していくという運用でも問題ありません。

ただし、上記のケースにおいて時間外労働が発生した場合は、適宜、実労働時間に修正または備考欄に記載するなどの処理は必要です。

出勤簿とタイムカードの関係について

タイムカードは労働時間管理の1つの手段ではありますが、タイムカードのみに頼る労働時間管理では、さまざまな問題が生じる恐れがあります。

たとえば、労働者が出勤した時点で即タイムカードに打刻したものの、その後実際に作業に取り掛かるまで何もしない「不正打刻」が考えられます。

一方で、使用者が所定終業時刻に打刻だけさせて、その後の労働を強制する、いわゆる「サービス残業」になっているケースもあります。

あくまでもタイムカードは勤怠資料の一部と捉え、PCログイン情報や管理監督者の視認などと合わせて、出勤簿に反映させる必要があります。

出勤簿は助成金申請の際にも必要

厚生労働省から支給される「キャリアアップ助成金」や「人材開発支援助成金」などの雇用助成金の受給には、ほとんどの場合において出勤簿の添付が必要です。

たとえば「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」では、対象労働者の出勤簿について、「賃金規定改定前3ヶ月分、および賃金規定等改定後6ヶ月分」の提出が必要です。

厚生労働省から支給される助成金は、労働者の雇用維持や処遇改善を推進する企業に対して援助する制度です。

そのため、厚生労働者が助成金申請企業に対して、賃金や労働環境が適切であるかどうかを調査するために、出勤簿や賃金台帳等を確認しているのです。

出勤簿は勤怠管理システムで効率的に管理

出勤簿は勤怠管理において極めて重要な帳簿であり、日々更新されるものであるため、作成・管理は効率良く実施することが重要になります。

勤怠管理システムを導入することで、他の帳簿と連携して情報を一元管理でき、変形労働時間制やフレックスタイム制の導入にもフレキシブルに対応可能です。

出勤簿の効率的な作成・運用のために、勤怠管理システムの導入をおすすめします。

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