育児休暇についてはよく知っている人も多いですが看護休暇という制度もあるという事は知らない人も多いのでは無いでしょうか。

看護休暇はどのような時に使われる制度で、時間単位でも取得出来るものなのでしょうか。

この記事では社員に看護休暇を与える事による会社のメリットや、どういう時に看護休暇が取得出来るのかを紹介します。

子の看護休暇とは

育児のために使える休暇と言えば育児休暇が有名でよく知られていますが、看護休暇という休暇もある事を知らない人が多いです。

看護休暇は育児休暇と違って、手当などが出るわけではありませんが、子供のためにもぜひ活用して欲しい制度です。

小学校へ就学前の子供を持つ親のための休暇 

看護休暇とは年に5日、2人以上の場合は10日、小学校就学前の子を持つ労働者が取得出来る休暇です。

2人以上で10日ですので、3人でも4人でも10日です。

事業主に申し出ることにより、1年度において子供の数に応じて5日か10日を限度として、子供のための看護休暇を取得することができます。

ここでいう1年度とは、会社の就業規則に記載することで自由に変えることが出来ますが、特に記載が無い場合は4月1日から3月31日までです。

看護休暇を取得出来る1年度を自由に変えることが出来るものの、子供の年齢ではなく小学校就学前というのが条件なので、小学校に合わせて4月を基準にしておくのが良いでしょう。

法律に書かれてある事をそのまま書くと「子の看護休暇とは、負傷し、又は疾病にかかった子の世話又は疾病の予防を図るために必要な世話」となっています。

つまり看護休暇では特に高熱を出したとか、ケガをしたとか一人ではご飯も食べられないという状態である必要はなく、予防接種のためなどにも使うことが出来ます。

予防接種は疾病の予防を図るために必要な世話という項目に当てはまります。

介護休暇との違い

似たような制度で介護休暇というものがあります。

介護休暇は介護という言葉がついているので年老いた両親を世話するための休暇と思われがちですが、子供の世話でも場合によっては使われます。

介護休暇は2週間以上の長期間に渡って介護が必要な状態の家族がいれば、基本的には申告さえすれば利用出来る休暇です。

例えば、足の骨を折るなどの大怪我をした場合、骨折した箇所以外は健康で屈強な高校生の息子のためであっても介護休暇は利用することが出来ます。

つまり日常生活を送る時に補助が必要な人が家族にいる場合に使える制度です。

取得日数も看護休暇と同様で年に5日、2人以上の場合は10日です。

家族の範囲は2親等までで、配偶者の親の介護では使えますが、配偶者の兄弟のためには使えません。

電話で伝えるのみで簡単に取得する事は出来ますが、会社には手当などを支給する義務はありません。

また、介護休暇は、看護休暇のように予防接種やちょっとした風邪のお世話のために取得する事は出来ません。

つまり看護休暇の方が取得しやすいのですが、対象家族は自分の子供のみでなおかつ小学校に上がるまでという年齢制限もあります。

介護休暇には年齢制限はありませんが、よほどの大怪我じゃないと利用出来ません。

また、介護休暇の他に介護休業というものもあり、特長としては、介護を必要とする家族の状況が落ち着くまでのある程度長い期間仕事を休む事です。

そのため介護休業で休んでいる間は雇用保険から手当が支給されるというのも特徴です。

雇用保険から出るので会社からの負担はありません。

子供のための介護休暇や介護休業が必要な時は滅多にありませんが、そのような制度がある事も頭に入れておくと何かあった時に手助けになるでしょう。

看護休暇の取得条件と給与、手当

看護休暇の取得には何か条件があったり、会社は何か手当などを支給しなければならないのでしょうか。

対象者や取得条件

看護休暇が取得出来ない人は、日雇いの社員の他には以下のような人は取得出来ません。

1 その事業主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者

2 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

3 時間単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者

取得の仕方は簡単で、当日子供が熱を出したりしたら、電話で看護休暇を取りたい旨を連絡したらすぐ取得することが出来ます。

企業側にとっては当日いきなり休まれるという事にはなりますが、有給休暇では無いので、看護休暇で休んだ分の給料を払う必要はありません。

ただし、公的に認められた休暇なので、欠勤扱いにして、有給休暇の取得や、ボーナスの支給などに影響を与える事などは出来ません。

給与、手当

看護休暇は有給休暇では無いので、会社側は手当をつける義務は無いのですが、社員への福利厚生のひとつとして手当を付ける事は可能です。

また、手当が無いにしても欠勤にはならないので、有給休暇の獲得の条件やボーナス支給条件の影響を与える事は出来ません。

社員としては欠勤扱いにされないように、子供の熱などで休む場合は、看護休暇を取得するとはっきりと伝えるようにしないと欠勤扱いされてしまう可能性があります。

看護休暇を取得したいと申し出たのに欠勤扱いされていると会社に問題がありますが、「子供が熱を出したから休む」とだけ伝えていて看護休暇にされてないのは会社を責めきれません。

そのため、会社としてはその後にトラブルになった時に備えて、あえてメール連絡のみ受け付けるというやり方をとってもいいのかもしれません。

しかし、一番良心的なのは、子供の熱などと言われたら「看護休暇にする?」と逆に聞いた方がいいでしょう。

看護休暇は有給休暇ではないので、ここでの違いは欠勤か看護休暇という休み方の違いだけです。

子の看護休暇の時間単位取得

看護休暇は今までは半日か1日単位での取得のみでしたが、法改正により時間単位の取得も可能になりました。

令和3年から時間単位で取得可能に

令和3年から法改正により、看護休暇の時間単位の取得が可能になりました。

つまり、朝に子供を病院に連れていき予防接種を打ったあとに、親戚などに預けてそのまま仕事に行くというようなことが可能となりました。

時間単位の取得が出来るようになったことで、今まで5日、もしくは2人以上の子供がいれば10日と決められていた取得可能日数の計算がやや複雑になりました。

まず、所定労働時間の確認をしなければなりません。

所定労働時間が8時間だと8(時間)×5(日)で40時間分看護休暇を利用出来るという事になります。

所定労働時間が分単位の場合は7.5(時間)×5(日)で37.5時間取得出来るという事になりますが、分単位では取得出来ないのが要注意です。

この場合、丸一日看護休暇を取得すると7.5時間使った事になるので、取りこぼしなく最後まで使うことが出来ます。

また、分単位は厳密には取得出来ないという事はなく、会社が就業規則で定めていれば分単位で取得が出来ます。

しかし、給料の計算などがややこしくなってしまうので、計算をシフト管理ソフトなどで自動的に行っている会社のみに限られてくる事でしょう。

中抜けは出来ない 

遅刻か早退という形で看護休暇を使う事は出来ますが、勤務途中で抜け出してそのあと戻ってくるといういわゆる中抜けという使い方は出来ません。

お昼頃に子供に何かトラブルがあった場合は、そのまま看護休暇を時間単位で取得して早退という形で帰宅するという事になるでしょう。

しかし、これは定時で働いている人に限った話で、フレックスタイム制など労働時間に融通のきく働き方をしている人はこの限りではありません。

また、就業規則で中抜けも可能としていると、看護休暇による中抜けをする事も可能です。

子の看護休暇の助成金

看護休暇を積極的に取得させていると助成金がもらえることがあります。

会社としては社員に積極的に看護休暇を与えると、このようなメリットがあるのです。

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

両立支援等助成金は育児や看護をする社員のサポートを積極的に行っている事業主に対して助成金を支給するという制度です。

いくつかコースがあり、看護休暇に関係があるのは育児休業等支援コースです。

支給条件は以下のとおりです。

育児休業の円滑な取得・職場復帰のため次の取組を行った事業主(1~4は中小企業事業主) に支給する。

<支給条件>

1 育休取得時 2職場復帰時:「育休復帰支援プラン」を策定及び導入し、プランに沿って対象 労働者の円滑な育児休業の取得・復帰に取り組んだ場合

<職場支援加算>

育休取得者の業務を代替する職場の労働者に、業務代替手当等を支給するとともに残業抑制のための業務見直しなどの職場支援の取組をした場合

3 代替要員確保時:育児休業取得者が、育児休業終了後、原職等に復帰する旨の取扱いを就業規則等に規定し、休業取得者の代替要員を確保し、かつ、休業取得者を原職等に復帰させた場合

<有期雇用労働者加算>

育児休業取得者が期間雇用者の場合

4 職場復帰後支援:法を上回る子の看護休暇制度(A)や保育サービス費用補助制度(B)を導入し、 労働者が職場復帰後、6ヶ月以内に一定以上利用させた場合

5新型コロナウイルス感染症対応特例:小学校等の臨時休業等により子どもの世話をする労働者

のために特別休暇制度及び両立支援制度を導入し、特別休暇の利用者が出た場合

支給額は以下のとおりです。<>は生産性要件を満たした場合、さらに加算されます。

生産性要件とは生産性を向上させることが出来たかどうかの審査で、具体的な数字は公表されていません。

生産性要件を満たしたかどうかを、専用の書類に記載して審査されますが、審査が通ったらラッキーだというくらいの感覚でいいでしょう。

1. 育休取得時28.5万円<36万円>

2. 職場復帰時28.5万円<36万円>

職場支援加算19万円<24万円>

3. 代替要員確保時(1人当たり)47.5万円<60万円>

有期労働者加算9.5万円<12万円>

4. 職場復帰後支援28.5万円<36万円>

A 看護休暇制度 1,000円<1,200円>×時間

B 保育サービス費用 実支出額の2/3補助

5. 新型コロナウイルス

感染症対応特例 1人あたり5万円 ※10人まで(上限50万円)

出生時両立支援コース

また、両立支援等助成金の別の支援コースとして、出生時両立支援コースがあります。

こちらは男性でも積極的に育児に参加する事を促すための政策で、男性向けとなります。

以下の条件を満たした企業に支援されます。

男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業 等を取得した男性労働者が生じた事業主に助成する。

個別支援加算として個別面談など育児休業の取得を後押しする取組を導入、実施した場合はさらに追加で支給されます。

<>の金額は生産性要件を満たした場合の金額です。

・1人目の育休取得

中小企業57万円<72万円>

個別支援加算10万円〈 12万円 〉

中小企業以外28.5万円<36万円>

個別支援加算5万円〈 6万円 〉

・2人目以降の 育休取得 

中小企業

5日以上 14.25万円<18万円>

14日以上 23.75万円<30万円>

1ヶ月以上 33.25万円<42万円>

個別支援加算5万円〈 6万円 〉

中小企業以外

14日以上 14.25万円<18万円>

1ヶ月以上 23.75万円<30万円>

2ヶ月以上 33.25万円<42万円>

個別支援加算2.5万円〈 3万円 〉

・育児目的休暇 の導入・利用

中小企業

28.5万円<36万円>

中小企業以外

14.25万円<18万円>

育児目的休暇 の導入・利用

中小企業

28.5万円<36万円>

中小企業以外

14.25万円<18万円>

このように育児休業を積極的に与えていると、企業にとっても大きなメリットがあります。

子の看護休暇のトラブルと対処法

看護休暇は育児休暇と比べて知名度が低いことから、理解されない事によるトラブルが起きやすいです。

しかし、有給の休暇ではなく、ただ休むだけで会社には特に負担はなく、むしろ推進することで助成金ももらえるので、トラブルは比較的少ないです。

人手が足りないと断られる

人手が足りないと断られる事もあるでしょう。

確かに、当日電話連絡により休む事を伝えると、ギリギリの人数でやっている職場では非常に困るでしょう。

しかし、看護休暇を与える事は使用者の義務なので、取得を希望された場合はしっかり与えなければなりません。

そもそも何かの店を運営している立場の人はギリギリの人数で運営する事で、人件費を抑えるということが出来るという一方、何かあったら運営出来なくなるというリスクはしっかり背負わなくてはなりません。

休みことで職場に迷惑がかかると遠慮してしまいがちですが、自分の家庭を犠牲にする必要はありません。

会社としては、看護休暇の他に、インフルエンザなどのうつりやすい風邪をひいてしまうなど、突然出勤予定だったのを休まれるという事はいつかどこかで必ず起こる事です。

そのようなリスクに対して、どこかから人材を融通出来る仕組みを作るなどの体制をしっかり確立して

おかなければなりません。

皆勤手当がもらえない

有給休暇や看護休暇などの法的に認められている休暇制度を利用したことで、皆勤手当がもらえないというケースがたまにあります。皆勤手当は会社側にはそもそも与える義務があるものでは無いので微妙な問題です。

しかし、法的に認められている休む権利を行使した際に、会社は社員に対して不利益な扱いをすることが禁じられています。

遅刻早退や欠勤を防ぐための皆勤手当等ですが、スタッフに認められている休暇取得の権利を阻害したり、不利益な扱いをするということは認められていません。

つまり、この場合は皆勤手当などのように、そもそも会社側が義務でも無いのに善意として与えている手当であっても、正当な権利を行使したことで阻害する事は出来ないという事になります。

この事はボーナスや、成果によってもらえるインセンティブへの影響にも同じ事が言えるでしょう。

しかし、成果によって加算されるインセンティブであれば、休みながら成果をあげるという事は出来ませんので、例年と比べて下がるのは仕方の無いことかもしれません。

もし、看護休暇を取得したことで不利益を被る事があれば、労働基準監督などに相談してみましょう。

まとめ

子の看護休暇は法改正により、時間単位で取る事が出来る様になったことで、ますますうまく活用すれば家事と仕事の両立が可能となるようになりました。

今まで仕事が忙しくて、病院に予防接種などに行けなかったという人は看護休暇を時間単位で取得してみると良いでしょう。

会社としても、看護休暇を積極的に与えることで、助成金がもらえる可能性がありますし、イメージアップにも繋がります。

イメージアップで優良企業だと世間から思われると、企業の製品の売り上げも増えますし、良い人材の確保にも繋がります。

良い人材の確保は企業にとって大きな力となるので、ぜひ看護休暇などの休暇を積極的に与えるようにしましょう。