育児休業は原則子どもが1歳に達するまで取得可能ですが、一定の条件を満たす場合は1歳6ヶ月及び2歳に達するまで延長が可能です。また、それに伴い育児休業給付金の受給期間も延長されます。

延長した期間の育児休業給付金を受給するには、延長理由を証明するための書類提出が必要になります。また、社会保険料免除についても延長手続きが必要となります。

この記事では、事業主や労務管理者向けに育児休業の延長に伴う諸手続きや注意すべきポイントについて、分かりやすく解説します。

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育児休業とは?

従業員が仕事と育児の両立を図れるよう、子どもの養育を目的に、子どもが出生してから1歳に達するまでの間で、労働者が申し出た期間だけ取得できる休暇制度です。

企業独自の制度である「育児休暇」を合わせて「育休」と呼ぶ場合もありますが、本記事では主に育児・介護休業法が定める「育児休業」の延長について解説します。

育児休業を取得できる条件は?

基本的には、日雇い労働者以外であれば、勤務形態や雇用形態に関わらず取得可能です。ただし、有期契約労働者については、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 同一の事業主に過去1年間以上、雇用されていること
  2. 子どもが1歳6カ月になる日までに雇用契約が終了することが明らかでないこと

なお、1.の要件については、2022年4月の改正法施行により削除されます。ただし、改正法施行以降も労使協定を締結することにより、以下の要件に該当する労働者を対象外とすることが可能です。

  • 雇用期間が1年未満の者
  • 1年以内に雇用契約が終了することが明らかな者
  • 週の所定労働日数が2日以下の者

また、派遣労働者については、派遣元にて育児休業を取得することになります。

育休中は育児休業給付金が支給される

育児休業期間中は、一般的には「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいて会社からの賃金は無給であるため、収入保障のため雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

支給申請の主体は取得する労働者本人ですが、実際の手続きは労働者からの申し出を受けて会社がすることが多いため、手続きの流れや支給要件などを押さえておきましょう。

育児休業給付金の支給要件

支給要件は以下のとおりです。

要件補足解説
雇用保険の被保険者であること育児休業給付金は雇用保険から支給されます。
1歳未満の子どもを養育すること原則、養育している子が1歳になる日の前日までの育児休業期間中に支給されます。
産休前の2年間に、11日以上就業した月が12ヶ月以上あること2021年9月から、それまでの「育児休業開始日前の2年間」という要件から改正されました。
11日以上就業した月が12ヶ月ない場合でも、賃金支払基礎となった時間数が80時間以上の月があれば1ヶ月として算定します。
育休期間中の1ヶ月単位で、休業開始前の賃金の80%以上が支払われていないこと会社から、賃金月額(休業開始時賃金日額×支給日数)の8割以上の賃金の支払いがあれば、育児休業給付金は支給されません。
育休期間中の1ヶ月あたりの就業日数が10日以下、又は就業時間が80時間以下であること一時的・臨時的な就業に限られるため、育休期間当初から短時間勤務で定期的に就業した場合などは、就業日数や時間が左記以下でも支給されません。
育児休業給付金の支給要件

育児休業給付金の支給額

月あたりの支給額は以下のとおりです。

休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日)× 67%(育児休業開始から6か月経過後は50%)

休業開始賃金日額とは、「育児休業開始前6か月間の総賃金額を180で割った金額」で、支給申請時に提出する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」に記載されている額をもとに算出されます。

なお、会社から休業中に賃金が支払われた場合は、「休業開始時賃金日額 × 支給日数の80%」を超えない範囲で減額されることになります。たとえば、会社から休業前の50%の賃金が支払われている場合は、支給率は「80% – 50% = 30%」となります。

そのため、休業中に賃金を支給する場合は、事前に対象従業員としっかり認識を合わせておきましょう。

育児休業給付金の支給手続き

支給手続きは、原則的に労働者からの申し出を受けた会社が、ハローワークに対して行うことになります。初回申請に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 企業側が用意する書類
    • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
    • 休業開始時賃金月額証明書
    • 賃金台帳
    • 出勤簿
  • 労働者から預かる書類
    • 払渡希望金融機関指定届
    • 母子健康手帳の写し

初回申請以降は、2ヶ月に1回「育児休業給付金支給申請書」を提出して申請することになるため、提出し忘れのないように注意しましょう。

育休中は社会保険料が免除される

育児休業期間中は、健康保険及び厚生年金の保険料が、従業員負担・会社負担分ともに免除となります。免除となっても健康保険の給付内容に変更はなく、将来受給可能な年金額も減額されません。

手続きは、会社が「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規)」を管轄の年金事務所または健康保険組合に提出することにより行います。育児休業を開始した月から終了日翌日の前月分までが免除の対象期間(賞与も対象)となります。

また、現行法では月末時点で育児休業を取得していることが要件ですが、2022年10月の改正法施行に伴い、月中に2週間以上育児休業を取得している場合も社会保険料の免除対象となります。

なお、育児休業終了後は短時間勤務の利用などによって、実際に受け取る給与額と標準報酬月額(社会保険料算定の基礎となる金額)とがかけ離れることが少なくありません。その結果、復職後の月額の保険料支払い額が割高になってしまいます。

そのため、復職後の給与額に応じた保険料となるよう、「健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届」を年金事務所または健康保険組合に提出することが必要です。

改定保険料は、職場復帰月以後の3か月間に受けた給与(支払基礎日数が17日未満の月は除く)の平均額により決定し、その翌月から適用されます。

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育児休業は延長が可能

養育する子が1歳に達した後でも、引き続き育児のために就業できない特別な事情がある場合は、育休期間を「子どもが1歳6ヶ月にもしくは2歳に達するまで」延長可能です。

なお、延長手続きは段階を踏む必要があり、1歳から2歳に一気に延長することはできず、まずは1歳6ヶ月までの延長とする必要があります。

育児休業延長の条件

育児休業を延長するためには、以下のいずれの要件も満たす必要があります。

  • 育児休業対象の子どもが1歳(2歳まで延長する場合は1歳6ヶ月)に達する日において、労働者本人または配偶者が育児休業をしている
  • 以下に挙げる事情により子どもが1歳もしくは1歳6カ月を超えても休業が特に必要である
    • 保育園に入園できない
    • 子を養育予定だった配偶者が死亡した
    • 子を養育予定だった者が負傷、疾病、障害などで養育が困難となった
    • 離婚などで、子を養育予定だった者と別居となった
    • 新たな妊娠・出産により休業することとなった

延長申請には期限があり、「1歳6ヶ月に達するまでの延長」は1歳の誕生日の2週間前までに、「2歳に達するまでの延長」は1歳6カ月になる翌日の2週間前までに、申請する必要があります。

なお、上記延長の要件を満たさなくても、両親ともに育児休業を取得する場合は、「パパママ育休プラス制度」の利用により、1歳2カ月に満たない期間まで期間延長が可能です。

育児休業給付金の延長手続き・必要書類

育児休業の延長に応じ、育児休業給付金の受給期間も延長可能です。手続きは、「育児休業給付金支給申請書」に、出勤簿や賃金台帳、延長理由を証明する以下の書類を添えて、ハローワークに対して申請します。

延長理由必要書類
保育園に入園できない「不承諾通知」などの自治体により発行された証明書
養育予定の配偶者が死亡した住民票(世帯全員がわかるもの)の写し・母子健康手帳
養育予定者が負傷、疾病、障害などで養育が困難となった医師の診断書・母子健康手帳
離婚などで養育予定者と別居となった住民票(世帯全員がわかるもの)の写し・母子健康手帳
新たな妊娠・出産による休業産前産後に係る母子健康手帳
育児休業給付金の延長理由を証明する書類

社会保険料免除の延長手続き・必要書類

社会保険料の免除も、育児休業の延長に伴って免除期間の延長が可能です。手続きは、「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(延長)」を管轄の年金事務所または健康保険組合に提出することにより行います。

なお、社会保険料の免除は、最長で子が3歳に達するまで受けられます。そのため、育児・介護休業法に定める育児休業のほか、これに準じる会社独自の育休制度による休業であっても免除対象となります。

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育児休業延長における注意点

ここでは、育児休業の分割取得や延長についての注意ポイントを解説します。

育児休業の分割取得は可能?

現行制度においては、育児休業を分割して取得することは認められていませんが、2022年10月の改正法施行により2回までの分割取得が可能となります。

また、同じ時期にスタートする「産後パパ育休制度」においても、2回までの分割取得が認められるため、改正内容に合わせて就業規則等の改定を忘れないようにしましょう。

産後パパ育休についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
>>2022年10月スタート!出生時育児休業(産後パパ育休)徹底解説

わざと保育園に落選した場合は、延長申請を断れる?

育児休業の延長は、休業の継続が必要な特別な事情がある場合に限って認められますが、延長そのものを目的として、保育園からの受け入れ内定をあえて辞退するというケースが見受けられます。このような制度の趣旨からかけ離れた延長申請は認められません。

「保育所入所保留通知書」など自治体が発行する証明書などで、こうした事実が確認できる場合は、内定辞退にやむを得ない理由がない限り、会社は育休延長の申請を却下しても差し支えなありません。

また、育児休業給付金に関しては保育所入所保留通知書が提出されると、ハローワークが従業員へ保育園辞退の理由を直接確認します。育休延長のケースと同様に正当な理由が無い限り、育児休業給付金受給の延長は認められません。

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安心して育児休業を取得してもらうために勤怠管理システムを活用

育児休業は、給付金や社会保険料免除など、日常の労務管理とは違った慣れない手続きを行うことになります。また、休業期間を延長する場合は、追加手続き・代替要員の確保・労働環境の再整備など、様々な業務が発生します。

勤怠管理システム導入により、手続きに必要な書類の管理やイレギュラーな勤怠にも柔軟に対応できるため、従業員に安心して育休を取得してもらうことができます。

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