フレックスタイム制はメリットも当然多い制度ですが、いざ導入して気付かされるデメリットも意外と多いものです。
ただし、それぞれのデメリットには対応可能な解決策があります。

デメリット対策を押さえて実行することで、フレックスタイム制のメリットを最大限に享受できます。

フレックスタイム制のように一旦導入すると撤廃が難しい制度は、そもそも事業場に制度がマッチするのか、デメリット対策が過度な負担にならないか、などを総合的に判断して導入を検討する必要があります。

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変形労働時間制と似て非なるフレックスタイム制

フレックスタイム制は変形労働時間制の一種です。
変形労働時間制は4種類あり、他に1年単位の変形労働時間制、1ヶ月単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制があります。

フレックスタイム制は、他の3つの変形労働時間制とは大きく異なる労働時間制度です。

フレックスタイム制は労働時間の管理を労働者に委ねる

フレックスタイム制では、労働者が清算期間(フレックスタイム制の対象となる期間)の労働時間の範囲内で始業、終業時刻を決定します。
一方、変形労働時間制では使用者が労働時間を設定する点で大きく異なります。

労働者にとっては、あらかじめ決められた所定労働時間内で自身の労働時間を自由に決定可能で、以下のようなメリットが享受できます。

  • 毎日の苦痛となる通勤ラッシュを避けられる
  • 資格予備校に通学する曜日は早めに仕事を終えるかわりに、他の曜日は長めに仕事をするなど勤務時間の長短を調整できる
  • 子供の送迎で、勤務終了時刻を早められる
  • プライベートの急用ができても、出社前に気兼ねなく立ち寄ることができる

フレックスタイム制の導入により、労働者は自分自身のライフスタイルに合わせて労働時間の調整が可能です。

清算期間は2パターン|残業代の計算と手続きに違いがある

2019年4月の労働基準法改正により、1ヶ月以内に限られていた清算期間が「1ヶ月を超え3ヶ月以内」も認められるようになりました。

改正に伴い、残業代を算出する元になる時間外労働のカウント方法や、フレックスタイム制を導入する際の手続き方法が変わりました。

フレックスタイム制における残業代計算の解説は、こちらをご覧ください。
>>労働者に誤解されないフレックスタイム制における残業代計算

1. 時間外労働のカウント

【清算期間が1ヶ月以内の場合】
清算期間における総労働時間に対する実労働時間が超過した場合のみ割増賃金の対象となります。

【清算期間が1ヶ月超3ヶ月以内の場合】
下記の1.と2.を合計した時間が割増賃金の対象となる時間外労働です。

  1. 1ヶ月ごとに計算する労働時間
    • 1ヶ月あたりで週平均50時間を超過した時間
    • 超過した月の割増賃金対象として計算します
  2. 清算期間を通じて計算する労働時間
    • 期間通算の法定労働時間を超えた労働時間(1.でカウントした労働時間を除く)
    • 清算期間の最終月の割増賃金対象として計算します

2. 導入に必要な手続き

【清算期間が1ヶ月以内の場合】
就業規則等への規定と労使協定の締結が必要です。

【清算期間が1ヶ月超3ヶ月以内の場合】
就業規則等への規定、労使協定の締結に加えて、労使協定の労働基準監督署への提出が必要です。

【就業規則の記載例】

(適⽤労働者の範囲)
第○条 第○条の規定にかかわらず、営業部及び開発部に所属する従業員にフレックスタイム制を適⽤する。
(清算期間及び総労働時間)
第○条 清算期間は1箇⽉間とし、毎⽉1⽇を起算⽇とする。
② 清算期間中に労働すべき総労働時間は、154時間とする。
(標準労働時間)
第○条 標準となる1⽇の労働時間は、7時間とする。
(始業終業時刻、フレキシブルタイム及びコアタイム)
第○条 フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻については、従業員の⾃主的決定に委ねるものとする。
ただし、始業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午前6時から午前10時まで、終業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午後3時から午後7時までの間とする。
② 午前10時から午後3時までの間(正午から午後1時までの休憩時間を除く。)については、所属⻑の承認のないかぎり、所定の労働に従事しなければならない。
(その他)
第○条 前条に掲げる事項以外については労使で協議する。

フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制を検討する際、コアタイムとフレキシブルタイムの概要と関係を理解するのが大切です。

コアタイムとは

コアタイムは、労働者が1日の中で必ず働かなければならない時間帯です。

コアタイムの設置は任意であるため、必ず定めなければならないものではありませんが、設置する場合は、コアタイム開始時刻と終了時刻を労使協定で定める必要があります。

全体の労働時間と比較して、コアタイムが極端に長くなるなど、制度の趣旨を失わせるような設定は無効とされますので、注意が必要です。

コアタイムについての詳しい解説は、こちらをご覧ください。
>>フレックスタイム制における、失敗しないコアタイムの決め方

フレキシブルタイムとは

フレキシブルタイムは、労働者が自らの選択によって労働時間を設定できる時間帯です。
コアタイムと同じく設置は任意であるため、必ず定めなければならないものではありませんが、設置する場合は開始時刻と終了時刻を労使協定で定める必要があります。

フルフレックスタイム制(スーパーフレックスタイム制)とは

フルフレックスタイム制(スーパーフレックスタイム制)とは、「コアタイム」のないフレックスタイム制です。コアタイムがありませんので、労働者の自由度はさらに高まります。

スーパーフレックスについての詳しい解説は、こちらをご覧ください。
>>スーパーフレックスで柔軟な働き方を実現|失敗しない3つのポイント

仕事内容がパーソナルであるほど向いている

フレックスタイム制は、情報技術、クリエイター、企画職など、他社や他部署への依存度が低く、自分のペースで作業を行う業種や職種に向いています。
業務を進める際に外部から影響されるケースが少ないのが、その理由です。

一方、小売販売、ライン生産、営業職など、顧客との対面や一斉稼働を前提としている業種や職種には向いていません。
社内連携の部署や取引先企業が多いほど、フレックスタイム制を導入するのは難しいです。

フレックスタイム制は使用者・労働者双方にメリットあり

一般的にフレックスタイム制は、労働者に対するメリットばかりがクローズアップされがちですが、もちろん使用者にとってもメリットの大きい制度です。

使用者にとっては残業の削減や生産性の向上が見込める

フレックスタイム制では、清算期間のトータルで労働時間を考えますので、時間外労働と残業代削減につながります。

閑散期の業務では、労働者は終業時刻までダラダラと働くケースがしばしば見受けられます。
しかし、フレックスタイム制を導入すると、決められた終業時間まで稼働しなければならないという事態が減少します。

また、時間外労働が減少するので、労働者のワークライフバランスの向上により、仕事へのモチベーションがアップします。

さらに人材採用面でも、フレックスタイム制を導入している企業は応募する側にも関心の高い制度であり、自己管理能力の高い人材が集まることで生産性の向上が期待できます。

労働者にとっては時間を有効に使えることが魅力的

労働者は家族とのふれあいが増えるなど、ライフスタイルにあった働き方ができるので、フレックスタイム制は非常に有効な制度と感じる傾向にあります。

また、通勤や帰宅ラッシュを回避できるので、労働者の疲労蓄積を防止すると同時に、ストレス軽減の効果も期待できます。

フレックスタイム制における6つのデメリットとその対策

フレックスタイム制のデメリットは、主に使用者側の視点から挙げられます。
しかし、それぞれのデメリットに対して対策を講じることで、フレックスタイム制を有効に機能させ、会社の生産性アップにつなげることが可能です。

フレックスタイム制における6つのデメリット

  1. コミュニケーションロス
  2. 取引先・他部署に迷惑がかかる
  3. 労働者の自己管理能力が低いと効率が落ちる
  4. 勤務時間の管理が複雑になる
  5. 光熱費がかさむ
  6. 社員内で不公平感が出る

1. コミュニケーションロス|オンラインツールを活用する

【デメリット】

労働者自身が始業時刻と終了時刻を決めるため、出社時間がバラバラになり、情報連携や人間関係の構築が疎かになりがちです。

フレックスタイム制の導入前は同じ労働時間で、お互いに挨拶や雑談でコミュニケーションを図っていたところ、その機会が減って、やがて希薄な人間関係に陥ってしまうケースが多いです。

【対策】

ビジネスチャットなどのオンラインコミュニティツールを活用して、申し送り事項の伝達やコミュニケーションの円滑化を図るのが有効です。

テレワークの普及で注目されるようになったSlackやChatworkなどのビジネスチャットツールは、コミュニケーション不足を解消できる切り札です。

出社途中や出先からでも短文でのチャットが可能で、長文になりがちで手間がかかるメールと比べて手軽に扱えるため、業務の伝達もスピーディーになります。

2. 取引先・他部署に迷惑がかかる|コアタイムを設定する

【デメリット】

担当者が出社していないため「取引先からの問い合わせに対応できない」「社内会議が開催できない」 といった事態が発生します。

ビジネスでは、取引先などから急な要請や突発的なトラブルやクレームはつきものです。
緊急連絡が取引先などの外部からあった際、担当者が出社していなければ対応できないケースが出てきます。

また、社内においてもトラブルの対応策を協議するための社内会議を開催したくても、メンバーが揃っていないので開催できません。
その結果、取引先や顧客からの信用を失いかねません。

【対策】

外部対応や社内会議などのためにどうしても出社しておいてほしい時間帯には、コアタイムを設定することをお勧めします。

外部からのトラブルが増えると、当然労働者の負担も増えます。
円滑な業務運営に支障が出ないように、必要に応じてコアタイムを設定しましょう。

3. 労働者の自己管理能力が低いと効率が落ちる|除外規定を設ける

【デメリット】

労働者の自己管理能力が低いと、自分の労働時間を把握できず無駄な残業代を発生させたり、時間不足による賃金控除を避けるために帳尻を合わせるケースも出てきます。

自己管理のできない労働者は時間にルーズで、無駄な労働時間が増える傾向にあります。
また、フレックスタイム制を自分にとって都合の良いルールと勝手に解釈し、ひどいケースではコアタイムに遅刻や早退を繰り返す労働者も存在します。

【対策】

労使協定に「労働時間が〇時間不足した労働者はフレックスタイム制の適用を除外する」など、ある程度のラインを満たさない労働者を適用から除外する規定を入れておくのが有効です。

そもそも自己管理できない労働者は、フレックスタイム制には向いていません。
自己管理ができない労働者によって、会社全体の生産性が低下したり、他の労働者にそのしわ寄せがいくのであれば本末転倒です。

あまりに自己管理能力の乏しい労働者に関しては、可能な限りフレックスタイム制の適用対象外になるように、労使協定における除外規定が必要です。

4. 勤務時間の管理が複雑になる|勤怠管理システムを導入する

【デメリット】

労働者によって就業時間がバラバラになるため、労働時間の管理や残業代の計算が複雑になり、特に人事労務担当者の負担が大幅に増加します。

各職場の管理監督者は、部下の時間管理を含めたマネジメントが複雑になり、また部下の勤務実態の把握も難しくなるため、人事評価する際にも苦労しがちです。

【対策】

勤務管理や残業代の計算など、人事労務の業務負担増を抑制するには、勤怠管理システムの導入による勤怠管理の自動化をお勧めします。

勤怠管理システムを導入することで、バラバラになっていた全労働者の時間管理が社内で一元管理可能です。
全職場が同じ勤怠管理システムを共有して、労務管理そのものが可視化されます。

人事労務担当者だけではなく、管理監督者の時間管理の負担も減りますので、勤怠管理システムの導入メリットは非常に大きいと言えます。

5. 光熱費がかさむ|設備の改善とフレキシブルタイムの設定

【デメリット】

フレックスタイム制導入により、オフィスが稼働している時間帯が前後に伸びることになるため、光熱費を含めたオフィス稼働に伴う物件費はどうしても上昇してしまいます。

【対策】

人感センサー照明・エアコンを導入したり、極端な早朝・深夜の稼働を抑えるため、過度に幅広いフレキシブルタイムの設定は避けるといった対策が有効です。
将来的なコスト削減につながる設備の導入は効果的です。

また、フレックスタイム制によって早朝や深夜労働が増えるのであれば、かえって労働者の健康面に悪影響を及ぼします。
フレキシブルタイムは、過度に幅広い時間帯にならないように設定することが大切です。

6. 社員内で不公平感が出る|労働者側のデメリットも説明する

【デメリット】

適用部署に対して、適用外部署から「不公平ではないか」という不満が出ることも予想されます。

同じ社内でも、顧客や取引先対応が多い営業部門など、フレックスタイム制に適していない部署や業務があります。

そのため、労働者全員をフレックスタイム制の適用対象者にするのは難しく、適用対象外の労働者から不満や反発が出るケースは珍しくありません。

【対策】

「フレックスタイム制が適さない部署があること」「残業代が減るなど適用労働者にもデメリットがある」ことを導入に際して説明することが大切です。

フレックスタイム制を導入する際、会社側が労働者に対して制度の概要はもちろん、メリットやデメリット面などを詳細に説明しないケースがよく見受けられます。

会社側の詳細説明がないために、適用対象外になる労働者のフレックスタイム制に対する誤解が生じやすく、適用対象の有無を問わず一律に納得感ある説明が必要です。

フレックスタイム制の導入には、勤怠管理システムが必須

フレックスタイム制が導入された場合、労働者ごとに労働時間は全くバラバラになります。
仮に、自社の現在の時間管理が手入力やExcelレベルの管理になっていれば、人事労務部門の業務負担が圧倒的に増える事態は避けられません。

勤怠管理システムを取り入れることで、全労働者の労働時間を一括管理できます。
また、コミュニティツールと連携できるシステムを導入すれば、さらに社内のコミュニケーションロスの問題も解決可能です。

ぜひ、この機会に勤怠管理システムの導入を検討してみてください。
勤怠管理システムの選定・比較ナビでは、多くの勤怠管理システムを紹介していますので、是非一度ご覧ください。

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