会社が従業員に与える休暇は、さまざまなルールがあります。

本記事では、「休暇」について、どのような種類があるのか知りたいとお悩みの方に向けて、法定休暇と特別休暇(法定外休暇)について分かりやすく解説しています。

※それぞれの休暇について、さらに詳細を知りたい方は、リンクより解説ページをご覧ください。

>>休暇管理を効率的にできるおすすめの勤怠管理システムとは?

法定休暇・特別休暇の種類一覧

次の表は、法定休暇や特別休暇(法定外休暇)を一覧にまとめたものです。

労働基準法や育児・介護休業法といった法律で定められた休暇にも、「有給」ではなく「無給」の休暇があります。

会社ごとに定めている休暇や名称、有給や無給などが異なるため、詳しくは勤務先の就業規則を確認してください。

名称内容一般的な日数
年次有給休暇心身の疲労回復、ゆとりある生活を実現するために取得10日~20日(週5日勤務者の勤続年数に応じる)
週1日~4日勤務者も勤続年数に応じて付与される
生理休暇女性従業員が生理日の就業著しく困難なときに取得必要な日数(制限は特になし)
産前産後休業出産前後において女性労働者の母体保護のために取得産前は出産予定日を含む6週間(双子以上は14週間)以内
産後は8週間以内
子の看護休暇未就学児童の世話や疾病の予防を図るために取得  5日:小学校就学前の子ども1人
10日:小学校就学前の子ども2人以上
介護休暇要介護状態にある家族の介護や世話をするために取得  5日:介護が必要な対象家族1人
10日:介護が必要な対象家族2人以上
育児休業仕事と育児の両立を図るために取得満1歳になる日(1歳になる誕生日の前日)まで
(条件によっては2歳まで)
介護休業仕事と介護の両立を図るために取得対象家族1人につき通算93日(分割3回を上限)とした日数
裁判員休暇公の職務にあたるために取得裁判員の職務を執行するために必要な時間・日数
(1日~5日)
夏季休暇お盆などの期間に取得2日~6日
年末年始休暇年末年始の期間に取得2日~4日
失効年休積立休暇傷病療養、育児・介護、ボランティア、自己啓発などの事由に取得失効年休の30日~60日が上限
病気休暇傷病療養のために取得
(公務員は法定休暇)
30日~90日が上限
結婚休暇従業員が結婚する場合に取得5日:本人の結婚
2日:本人の子ども
忌引休暇親族が死亡した場合に取得10日:配偶者
7日:父母
5日:子ども
3日:兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母
1日:孫、配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹

法定休暇と特別休暇(法定外休暇)の違い

法定休暇とは法律で定められた休暇のことで、企業は従業員に必ず法定休暇を与える義務があります。例えば、法定休暇の代表である年次有給休暇は、働く日数や時間によって必ず支給される有給休暇なので、休んでも働いたとみなして給料が払われます。

その他の法定休暇(生理休暇や育児休業、裁判員休暇など)は、有給にするか無給にするかを、企業の判断で決めることができます。

一方で、特別休暇(法定外休暇)とは、企業が独自に定めた休暇であり、法律上、絶対に与えなければいけない義務はありません。例えば、リフレッシュ休暇や結婚休暇などは法定外休暇であり、これらは企業独自の福利厚生として用意された休暇です。

法的な義務がない休暇なので、それを有給にするのか無給にするのかは、企業が自由に決めることができます。

休暇と休業の違いとは?

休暇と休業の違いは、法律上は明確な定義はありません。一般的には、1日単位で取得することがベースのお休みを「休暇」、連続して取得することがベースのお休みを「休業」と使い分けられています。

法定休暇一覧

それでは法定休暇について、それぞれの概要を解説します。どんな時に取得するお休みなのか、ざっくりと理解を深めていただき、より詳しい制度内容を知りたい方は、リンクよりそれぞれの解説記事をご覧ください。

年次有給休暇(労働基準法第39条)

年次有給休暇とは、会社から賃金が支払われる休暇のことです。「年次」とあるように、1年ごとに一定の日数が与えられます。有給休暇、年次休暇、年休、有休などと呼ばれることが多いです。

入社から6ヶ月が経過し、全労働日の8割以上出勤していれば、10日間の休暇が与えられ、1年経過するごとに「プラス1日」休暇が増えます。

>>年次有給休暇の付与条件と買取

生理休暇(労働基準法68条)

生理休暇は、生理日の就業が著しく困難な女性が請求したときに、与えられます。

体調によって、1日単位・時間単位での取得が可能。法律上、取得の上限は定められておらず、月単位の取得日数に上限を設けるかどうかは、企業の判断に委ねられています。

>>生理休暇は有給?無給?

産前産後休業(労働基準法68条)

産前産後休業とは、出産の前後においてとる休業のことで、産休と呼ばれることが多いです。

産前産後休業は、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態に関わらず、出産予定のすべての従業員の権利です。

  • 出産前6週間/授業院から休業申請があれば、会社は受理する義務があります。(多胎妊娠の場合は14週間)
  • 出産後8週間/この期間に就業させることは法律上、禁止されています。(本人の判断と医師の同意により6週間に短縮できる例外あり)

産前産後休業は、その他にもさまざまなルールがあります。出産手当金や社会保険料の免除など、詳細を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

>>産前産後休業と育児休業の違い

子の看護休暇(育児介護休業法第16条)

子の看護休暇は、子供が小学校に入学するまで、子供の看病などを理由に取得できる休暇のことです。子供1人あたり年間5日、子供2人以上で年間10日まで取得可能。2017年の改正により、半日単位の取得もできるようになりました。

>>子の看護休暇の手当や取得方法

介護休暇(育児介護休業法第16条)

介護休暇とは、要介護状態の家族を介護するために短期で休みを取得できる制度です。

対象家族1人あたり年間5日、2人以上で年間10日まで取得可能。1日単位、半日単位の取得に加えて、2021年から時間帯での取得もできるようになりました。

>>介護休暇と介護休業の違いは?給付金や手当

育児休業(育児介護休業法第5条)

育児休業とは、子供を育てるために産後1歳になるまで連続して取れるお休みのことです。

取得の条件は入社1年以上勤務していて、産休後も継続して働く場合となります。育休中は、雇用保険から給与の約50%の給付金を受けることができます。最大1歳6ヶ月まで延長することができるなど、特例が多いことが特徴。利用する際は、制度をよく確認しましょう。

>>育児休業の取得条件や手当

介護休業(育児介護休業法第11条)

介護休業とは、要介護状態の家族を介護するために年間93日まで連続して取得できるお休みのことです。取得の条件は入社1年以上勤務していて、介護休業後も継続して働く場合となります。介護休業中は、雇用保険から給与の約67%の給付金を受けることできます。

裁判員休暇(労働基準法第7条)

裁判員休暇は、裁判員として選出されて参加する場合、必要な日数・時間取れる休暇です。

裁判員に選ばれると、単なる「仕事が忙しい」という理由では辞退できないので、仕事の日に裁判へ出向く際、お休みを取ることになります。なお、裁判員休暇が有給か無給かは企業の判断に委ねられています。 

特別休暇

特別休暇(法定外休暇)の種類

ここからは特別休暇について、それぞれの概要を解説します。冒頭にお伝えしたように、特別休暇は企業独自の福利厚生なので、独自の運用ルールで様々な休暇を採用している企業もあります。

その中でも、本記事では夏季休暇や結婚休暇など、多くの企業や従業員にとって参考になりそうな休暇を選んで解説しています。実際に特別休暇を取得する際には、就業規則を確認して対応してください。

夏季休暇

夏季休暇とは、8月のお盆休みに取得できる休暇のことです。企業によって7月や9月にずらして取得する取り組みをしていることも。夏季休暇は、有給休暇を消化する対応にしているケースや、有給休暇とは別で特別休暇として与えられるケースがあります。

>>夏季休暇の平均日数やお知らせ例文

年末年始休暇

年末年始休暇とは、大晦日やお正月といった年末年始の時期に取得できる休暇のことです。夏季休暇と同様、企業によって有給消化とする場合と、特別休暇として全従業員に付与する場合があります。

>>年末年始休暇はいつからいつまで?

結婚休暇

結婚休暇とは、従業員本人が結婚する場合に取得できる休暇のこと。企業によって詳細は異なりますが、新婚旅行や新生活の準備を想定して、5日~7日程度の連休を取得できるケースが一般的です。

>>結婚休暇の取得期限や日数

忌引休暇

忌引休暇は、従業員本人の配偶者や身内に不幸があった場合に取得できる休暇のこと。一般的には、従業員本人との続柄に応じて、1日~7日程度の休暇を与えることが多いです。

>>忌引き休暇の日数目安や給料

リフレッシュ休暇

リフレッシュ休暇とは、勤続年数が長い従業員が取得できる休暇のこと。企業によって詳細は異なりますが、3日~7日程度の休暇を10年・20年といった節目の年に取得できるケースが多いです。

>>リフレッシュ休暇の条件や日数紹介

メモリアル休暇

メモリアル休暇は、従業員や家族の誕生日や結婚記念日などに取得できる休暇のことです。

似たような休暇で誕生日(バースディ)休暇がありますが、誕生日休暇の場合、従業員本人の誕生日1日だけが対象となるケースが多いため、家族の様々な記念日に取得できるメモリアル休暇を取り入れる企業が増えているようです。メモリアル休暇は、アニバーサリー休暇と呼ばれることもあります。

妊娠休暇

妊娠休暇とは、妊婦自身やお腹の中の赤ちゃんの健康のため、妊婦中に体調が悪い時などに使える休暇のことです。つわり休暇と呼ばれることもあります。

配偶者の出産休暇

配偶者の出産休暇とは、妻が出産する際に、夫が取得できる休暇のこと。会社によって詳細は異なりますが、出産日1日~前後5日程度で取得できるケースが多いようです。

赴任休暇

赴任休暇とは、転勤や出向による従業員の引っ越しなどを考慮して与える休暇のことです。

単身者の場合と、家族と一緒に引っ越す場合で、取得できる日数に規定があるケースもありますが、2日~5日程度が一般的です。

ボランティア休暇

ボランティア休暇とは、従業員がボランティア活動に取り組むために、仕事を休むことができる制度です。地域貢献活動や社会貢献活動、自然・環境保護活動、災害復興支援活動など近年の社会情勢を踏まえ、従業員がボランティア活動をするための休暇を用意している企業もあるようです。

私傷病休暇

私傷病休暇とは、仕事以外でのケガや病気により、勤務できない従業員が、回復するまで取得できる休暇のこと。業務上のケガや病気ではないため、一般的に無給となるケースが多いです。

>>傷病休暇の基礎知識 期間や給与について解説

教育訓練休暇

教育訓練休暇とは、仕事に必要なスキルや能力を高める目的で、会社が指示した教育訓練を埋める場合に取得できる休暇のことです。一定期間働かずに教育訓練に専念させ、有給扱いとするケースが多いです。教育訓練休暇制度を利用すると、国から助成金が支給される場合もあります。

サバティカル休暇

サバティカル休暇とは、ある程度継続勤務年数のある労働者に対して、1ヶ月以上から1年程度の長期休暇を与える休暇のことです。元々はヨーロッパで広く利用されていた制度ですが、近年は日本企業でも、労働者のワークライフバランスの向上や、働き方の多様化を実現させる意味で注目されています。

>>サバティカル休暇は導入可能?|制度のメリット・デメリット

特別休暇

特別休暇制度の導入状況

ここまで、法定休暇と法定外休暇(特別休暇)にはどんな種類があるのか、一覧でご紹介しました。

それでは、法的な義務がない特別休暇は、実態として企業にどれくらい取り入れられているのでしょうか。

厚生労働省の『令和2年就労条件総合調査』の結果をもとに、特別休暇の導入状況を見ていきます。

特別休暇のある企業は58.9%

早速データを見てみると、特別休暇制度を取り入れている企業は58.9%。前回の平成31年調査では59%だったため、わずかに減少しています。

従業員規模が大きくなるほど、特別休暇を採用している割合は高くなります。しかし、1,000名以上の大企業でも、特別休暇制度がない企業が23.6%もあることは驚きました。

くわしく内容を見てみると、多くの企業が採用している印象だった夏季休暇でさえ、50%に満たない実態が浮き彫りに。昨年の調査結果と比較して、増加傾向だったのは、1週間以上の長期休暇です。用途を指定しない連休を特別休暇として取り入れ、従業員数の多様性を尊重する時流が反映されているのかもしれません。

特別休暇

出典:厚生労働省『令和2年就労条件総合調査』