生理休暇は、労働基準法に規定された、労働者の正当な権利であるにも関わらず、取得率や認知度が低いというのが現状です。

この記事では、事業主や管理者の方向けに、生理休暇制度で押さえておくべき運用の注意点について、わかりやすく解説します。

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生理休暇とは

生理休暇とは、生理日の体調不良により、就業が著しく困難な女性が請求した場合に与えられる休暇制度です。

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

労働基準法戴68条|法令検索 e-Gov

このように、生理休暇は労働基準法に定められた権利であるため、事業主は生理休暇の請求を拒否したり、就業規則等で生理休暇を排除することは認められません。

生理休暇の原型は古く、1931年12月に千葉食糧研究所女子従業員が取得した生理休暇(有給5日)が日本初のものとされています。

ただし、近年は効果の高い医薬品の登場やプライバシーなどの観点から、ほとんど認知されおらず、取得率も1%未満(厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」より)にとどまっています。

生理休暇の対象者

基本的に、「生理により就業が著しく困難である」場合において、雇用形態や勤務形態を問わず、すべての女性労働者が取得可能です。

就業規則や労使協定により、生理休暇を取得できる労働者の範囲を制限することは認められません。

生理休暇の日数・取得単位

日数については、上限・下限ともに法に規定はなく、請求があったらその都度付与されるものとされています。就業規則等で取得可能日数に上限を設けることは認められません。

また、月経不順や生理周期などにより、必ずしも月1回だけとは限らないため、「1月につき1回までとする」のように、月ごとの取得回数に制限を設けることも認められません。

また、取得単位については暦日単位だけではなく、従業員が半日単位または時間単位での取得を希望している場合は、希望する範囲に応じて付与する必要があります。

生理休暇の申請方法

生理休暇は、事前に予定して取得することが非常に困難であるため、当日に口頭による申請によって取得させるのが一般的です。

書面による申請とする場合でも、一旦は口頭による申請で取得させ、後日「事後申請」という形で書類の提出を求めることになります。また、その際に医師の診断書等の提出を強制することはできません。

生理休暇は有給?無給?

生理休暇を有給とするか無給とするかについては、法に規定がないため会社ごとに任意に定めることができます。

無給でも会社は違法ではない

生理休暇中の賃金は無給としても、差し支えありません。ただし、就業規則等で「生理休暇中の賃金を支給する」旨の記載がある場合は、規定に沿って支給する必要があります。

また、現在有給の取り扱いを無給に変更する場合は、「不利益変更」に該当するため、会社が一方的に変更することはできません。

有給日数を制限するのは問題ない

生理休暇の取得可能日数そのものを制限することは認められませんが、たとえば「2日以上連続して取得する場合は、初日のみ有給とする」のように、有給対象となる生理休暇に一定の上限を設けることは問題ありません。

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生理休暇の実務の注意点

ここでは、生理休暇について実務上注意すべきポイントを解説します。

出勤率への影響は?

生理休暇が無給すなわち欠勤扱いとなっている会社においては、取得状況によっては年次有給休暇の付与条件に影響が出る場合があります。

年次有給休暇は「全労働日の8割以上出勤している」ことが付与条件となっています。この出勤率の算定にあたっては、労災による休業期間や育休、産休などは「出勤したものとして取り扱う」ことになっています。

しかし、生理休暇はこの「みなし出勤」の対象となっていないことから、あまり多くの生理休暇を取得してしまうと、出勤率が8割を割り込んでしまうことも考えられます。

そのため、取得数の多い女性従業員には、こうした出勤率の規定を説明した上で、生理休暇ではなく年次有給休暇の取得を勧奨するなどの対処が必要となります。

著しく困難な場合に限るという規定

労働基準法では「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」とされています。

この「就業が著しく困難」というのは、外部から判断することが非常に難しいと言えます。そのため、本人の自己申告によらざるを得ないところではありますが、前述したように医師の診断書提出を強要することも、症状の詳細を聞き出そうとする行為も差し控えるべきでしょう。

ただし、虚偽申告による不正取得のケースも考えられ、過去には「生理休暇を不正取得した従業員に対する懲戒解雇は有効である」と判断された判例もあります。

もちろん、こうした判例をチラつかせて取得を抑制することは認められませんが、「不正取得に対する懲戒処分を定めて周知する」などの対策は有効と言えます。

まとめ

認知度や取得率が低いからと言って、生理休暇に対する規定や運用をおざなりにする訳にはいきません。

勤怠管理システムの導入により、時間単位の休暇取得などにも柔軟に対応できるようになるだけでなく、申請ワークフローのオンライン化によってプライバシーに最大限配慮した休暇の申請が可能となります。

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