変形労働時間制、フレックス制の最大の違いは、誰に労働時間帯の決定権があるのかということです。
また、フレックス制には「労働時間の繰越し」という独自の考え方があります。

両者の違いを理解することで、自分の事業所にはどの制度がマッチするのかという判断材料になります。
また、実際に導入している場合は、その運用が労働基準法に違反していないかチェックすることも必要です。

変形労働時間制とフレックス制の違い|押さえるポイントは3つ

変形労働時間制は主に、1ヶ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制の4種類があります。

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フレックスタイム制は変形労働時間制の一種ですが、その性質は他の3つの変形労働時間制とは大きく異なります。
特に押さえるべきポイントは、以下の3つです。

  1. 労働時間帯の決定権が誰にあるのか
  2. 時間外労働の計算方法
  3. 所定労働時間に満たなかった場合の取扱い

1. 労働時間帯の決定権|変形制は使用者、フレックス制は労働者

変形労働時間制とは、月や年単位で労働時間を調整することで、労働基準法で定められている法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働くことを可能にする制度です。

一方、フレックスタイム制とは、始業時刻と終業時刻を労働者が自由に決められる制度です。労働者が選択できる労働時間帯をフレキシブルタイム、必ず労働すべき時間帯をコアタイムと言います。

変形労働時間制とフレックス制の大きな違いは、労働時間帯(何時から何時まで働くのか)の決定権が誰にあるのかという点です。

変形労働時間制は、会社側が業務の都合に合わせて労働時間を設定する制度です。
繁忙期や閑散期での業務量に応じて労働時間を調整し、全体として労働時間と残業代を抑えることが目的です。

一方、フレックスタイム制は、労働日ごとの所定労働時間は会社が決定しますが、始業時間と終業時間の設定は労働者に委ねられます。

2. 時間外労働の計算|変形制は日・月・期間、フレックス制は期間

変形労働時間制とフレックスタイム制では、割増賃金の対象になる時間外労働の計算方法が異なります。

1年単位の変形労働時間制や1ヶ月単位の変形労働時間制では、日単位、週単位、期間通算の3段階で計算し、フレックスタイム制では清算期間によって計算します。

変形労働時間制は日・月・期間

変形労働時間制の割増賃金は、1日単位、1週単位、対象期間全体の3つに分けて計算します。

  1. 1日単位
    • 1日あたりの所定労働時間を8時間超と定めた日は、定めた時間を超えた時間分が割増賃金の対象です。
    • 1日あたりの所定労働時間を8時間以下に定めた日は、8時間を超えた時間が割増賃金の対象です。
  2. 1週単位
    • 1週あたりの所定労働時間を40時間(特例措置対象事業場は44時間、以下同じ)超と定めた週は、定めた時間を超えた時間分が割増賃金の対象です。
    • 1週あたりの所定労働時間を40時間以下に定めた週は、40時間を超えた時間が割増賃金の対象です。
    • 1日単位で既に割増賃金の対象にした時間分は除きます。
  3. 対象期間通算
    • 対象期間における法定労働時間の総枠(40時間×対象期間の歴日数÷7)を超えた時間分が割増賃金の対象です。
    • 1日単位、1週単位で既に割増賃金の対象にした時間分は除きます。

フレックスタイム制は期間

フレックスタイム制の割増賃金は、制度の対象となる期間(清算期間)の通算で計算します。

  1. 清算期間が1ヶ月以内の場合
    • 清算期間における総労働時間に対して実労働時間が超過した場合のみ割増賃金の対象となります。
  2. 清算期間が1ヶ月を超え3ヶ月以内の場合
    • 以下を合計した時間が割増賃金の対象です。
      1. 1ヶ月ごとに週平均50時間を超えた労働時間
      2. 清算期間を通じて総労働時間を超えた労働時間のうち、2.1.の時間を除いた時間

3.所定労働時間に満たなかった場合|フレックス制は次に組み込める

変形労働時間制とフレックスタイム制では、実労働時間が期間内に定めた所定労働時間に対して超過や不足が生じた場合の取扱いが異なります。

1ヶ月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制は、過不足に関係なく一度決めた所定労働時間を変更することはできません。

フレックスタイム制も超過については同様で、実労働時間が清算期間の総労働時間を超過したからといって、超過分を次の期間に繰り越して帳尻を合わせることはできません。
労働基準法24条では、賃金はその当月分として全額支払わなければならないと定められています。
例えば、総労働時間170時間の月に180時間の実労働時間があり、翌月の総労働時間が150時間だからといって、超過分10時間を翌月分に繰り越して割増賃金の支払を逃れるということはできません。

一方で、実労働時間が清算期間の総労働時間に満たなかった場合、不足分を次の清算期間に組み込んで新たな総労働時間とすることは問題ありません。

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変形労働時間制もフレックスタイム制も、勤怠管理システムは必須

変形労働時間制、フレックスタイム制のどちらを導入するにしても、労働者ごとに労働時間を適切に管理する必要があります。

また、勤務カレンダーの作成や残業代の計算など、人事労務部門に必要とされるマンパワーが増えるのは避けられません。
これらの負担を軽減するために、勤怠管理システムの導入は不可欠です。

勤怠管理システムには、部署や職種ごとに異なる所定労働時間であっても、残業代を自動計算してくれる機能をはじめ、労務をサポートする機能が多く搭載されています。
勤怠管理システムを検討される際は、ぜひ勤怠管理システムの選定・比較ナビをご活用ください。

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