「宿直」という言葉を、聞いたことはあっても実際どのような働き方なのか、ちゃんと知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、宿直の業務内容や、当直や夜勤とはどのように違うのかを、わかりやすく解説します。ぜひご参考にしてください。

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宿直勤務とは

宿直勤務とは通常の営業時間が終了してから、翌日の業務が開始されるまで事業所に待機しておく勤務内容のことです。

待機といっても常に仕事のために構えておく必要はなく、仮眠をとることも可能。待機中に仕事をすることはほとんどなく、賃金は通常勤務の3分の1ほどになります。

このように宿直勤務は、通常の労働と趣旨が異なるため、一般的な労働基準法の考え方とは違う見方をしなければなりません。

夜間から朝にかけて待機

宿直勤務は通常業務が終わったあと、夜間から朝にかけて何かあった時のために待機をしておく働き方です。

24時間営業のコンビニやファミリーレストランのように、夜間であっても昼間の仕事内容と変わらなければ、宿直勤務とはいえません。

宿直勤務はあくまで何かあった時のために待機をしておく仕事で、睡眠をとることも認められています。

かつては、学校でも宿直勤務で警備することが一般的で、どこの学校にも宿直室はありました。

しかし現在では、警備の役割は警備会社とセンサーなど機械による警備が一般的となっており、警備のために学校に宿直勤務することはほとんどありません。

現在でも宿直勤務を行っている業種は、介護施設や病院などの医療福祉関係。そしてホテル、マンション、高層ビルの防災センターなどがあります。

緊急事態の際に対応する

宿直勤務の主な仕事内容は、緊急事態の際に対応することです。

例えば、介護施設や病院など利用者の身体に何か異変が起きた場合など、宿直勤務の担当の人は適切な対応をしなければなりません。

病院での宿直勤務の主な仕事内容としては、病室の定時巡回、少数の患者の検温、要注意患者の定時検脈などで具体的な診療行為などに当たらない内容です。

病院での緊急搬送の対応や、夜間に清掃や準備などをしなければならない場合は宿直勤務の範囲を超えてしまい宿直勤務ではなく深夜勤務となってしまいます。

他にも電話がかかってきたときの応対や、火災などが発生しないように見回りをすることなども重要な役割です。

ただし宿直勤務の際にかかってくる電話対応は、それほどしっかりとした対応をしなければならないことはなく、「今は営業時間外のため翌日に対応します」といった一次対応だけのことが多いです。

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宿直の労働基準法上のルール

宿直勤務は通常の勤務とは少し労働基準法上ルールが異なります。

ノーワーク・ノーペイの原則が労働基準法にはありますが、宿直勤務の場合は睡眠をとることも許されているのでこの原則には当てはまりません。

法定労働時間に含まれないので、宿直勤務の時間を含めて週40時間超えたとしても、残業代は発生しません。

他にも通常の勤務と違う点をいくつか紹介します。

賃金は通常の3分の1以上

宿直勤務の賃金は、最低で通常の勤務の3分の1以上にしなければなりません。

宿直でほとんどすることがない状態であっても、賃金を支払う必要があり、「会社で寝るだけだから給料を払わない」といった対応はできません。

賃金が発生しないケースとしては、会社に寝泊まりをしてその時間何が起きても会社の業務には関わらないのであれば、睡眠時間は休憩時間として賃金が発生しないことにすることもできます。

ホテルなどの宿泊施設の場合、深夜帯は休憩時間として仮眠を取って、翌朝再び勤務に戻る働き方をしているところもあります。

しかし、何か起きた場合は対処しなければならない時は宿直勤務となり、少なくとも通常の賃金の3分の1以上の賃金は支払わなければなりません。

ホテルの場合は、深夜帯の仮眠をとる時間帯であっても宿泊者のチェックアウトの対応などをしなければならない場合は、勤務から完全に解放されていないため休憩時間とはならず、宿直勤務となります。

従業員を宿直勤務とするのではなく、休憩時間として賃金が発生しないようにするには、深夜帯はモニターによる無人チェックアウトのみとする、などの対応が必要です。

さらに、清掃や事務作業など多くの業務がある場合は深夜労働となり、宿直勤務だと認められないこともあります。

宿直は週1回まで

宿直勤務は週1回までと定められています。

ただし宿直勤務をする日に通常勤務をこなし、勤務終了後そのまま宿直勤務となり、翌日も通常の勤務をすることは可能で、宿直勤務の翌日は休日にする必要はありません。

2日間働きっぱなしで大変そうに見えますが、そもそも翌日の勤務もできないようなきつい仕事は宿直勤務ですることはできません。

睡眠を確保

宿直勤務をするには労働監督署の許可が必要で、その際の条件として睡眠が出来るような場所を確保しておかなければなりません。

そのため宿直勤務を行っている会社には、仮眠用のベッドなどが用意されています。

かつて公立の学校などで先生たちが交代で宿直をしていた頃、学校には宿直室と呼ばれる睡眠をとるための部屋があったことが記憶にある人も多いのではないでしょうか。

学校の宿直室のような設備が宿直勤務をするためには必要となり、睡眠をとるための設備がないとそもそも宿直勤務の許可が労働基準監督署からおりません。

翌日の勤務はどうなる?

宿直勤務の翌日は通常通りの勤務をしても問題はありません。

その理由として宿直勤務は通常の勤務とは異なり負担が少なく、翌日に勤務をしても差し支えないことが挙げられます。

翌日に勤務をするべきではないほどの宿直勤務の負担が大きな場合は、そもそも宿直勤務として認められない場合があります。

宿直勤務として認められなければ、賃金が通常の3分の1とならないだけではなく深夜労働となり通常の1.25倍の賃金を支払わなければなりません。

法律としては翌日の勤務の問題はありませんが、通常通りのフルタイムの勤務ではなく、早めに上がるなどの配慮が必要です。

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宿直手当と深夜割増

宿直手当と深夜割増はどのように関係してくるのでしょうか。

宿直勤務が認められていると深夜割増は適用されませんが、通常の勤務内容とほとんど変わらないような勤務の場合は、深夜労働となり深夜割増が適用されます。

病院の場合、病室の定時巡回、少数の患者の検温、要注意患者の定時検脈などの範囲を超えて、具体的な医療行為や診療行為をする事になる場合は宿直とはみなされません。

さらに、勤務時間が午後10時から午前5時までの間だと深夜労働となり、深夜割増の割増賃金が発生します。

深夜労働となり深夜割増が適用されると、宿直勤務だと通常の賃金の3分の1で済むようなところが、1.25倍となってしまい会社にとっては大きな負担となってしまいます。

また、深夜労働となってしまう時間帯は休憩時間として業務から完全に解放されているとその時間の賃金や宿直手当なども払う必要がありません。

例えば、ホテル勤務で0時から6時までは仮眠時間として、宿泊客から呼び出しがあっても全く対処しない勤務の仕方であれば、仮眠時間は休憩時間として給料が発生しない時間にすることは可能です。

しかし深夜にチェックアウトする宿泊客の対応などもしなければならない場合は、労働から完全に解放されてはいないため、休憩時間にすることはできず、宿直勤務となります。

さらに深夜の時間に掃除や事務処理など、多くの業務をこなさなければならない場合は深夜勤務となってしまいます。

24時間営業の飲食店は深夜であっても通常の勤務と同じく多くの仕事をしなければならないので、深夜勤務となり、事業者は割増賃金を支払わなければなりません。

仕事内容が簡単な仕事で、仮眠時間もしっかりあるにも関わらず、状況によっては宿直勤務なのか深夜勤務なのか微妙な部分もあり、専門家によっても意見が分かれる内容の場合もあります。

最終的に宿直勤務なのか、休憩時間なのか、深夜勤務なのかの判断は労働基準監督署が決めることになるので、正確に仕事内容を記載して申請した上で判断を仰ぐしかありません。

チェック

混同されがちな当直、夜勤との違い

宿直は当直や夜勤とはどのように違うのでしょうか。

当直の他に日直という用語もあります。

宿直と当直は賃金に違いはありませんが、夜勤となると賃金に大きく違いが出てきます。

当直とは

当直とは当番を決めて交代で事業所に待機をする勤務のことです。つまり宿直も当直の中の1つとして考えられます。

宿直のほかに日直という働き方もあり、宿直と日直の違いは夜間か昼間かの違いでどちらも当直の中の1つです。

例えば病院や介護施設などの当直勤務の内容は、見回りや入所している人に何か異変が起きた場合の対処などです。

この時に、緊急搬送を受け入れている病院など、あまりにも多くの仕事がある場合は当直としては認められないこともあります。

夜勤とは

夜勤とは深夜に働く勤務のことです。コンビニエンスストアや24時間営業のファミリーレストランなどは、このような勤務形態となります。

夜勤の場合は深夜労働となり午後10時から午前5時までの間は通常の賃金よりも1.25倍の割増賃金を支払わなければなりません。

病院や介護施設などでも、仕事内容が診療行為や医療行為などであった場合は宿直ではなく深夜勤務となります。

また通常の業務時間の中に含まれるので、場合によっては残業手当なども支払わなければならない場合もあります。

仕事内容が違う

宿直(当直)と夜勤では仕事内容が全く異なります。

宿直は「何か発生した時に備えて待機する」のが仕事なので、何も起こらなければ待機するだけで終わります。しかし、夜勤は「通常の労働を夜の時間帯に行なう」のが仕事なので、勤務時間中はずっと仕事をしているのが普通です。

そのため、宿直は勤務中に睡眠を取ることが可能です。しかし深夜勤務では睡眠をとることが原則としてできません。

深夜勤務であっても仮眠をとることができて、その間何があっても会社の業務に加わらないのであれば休憩時間として捉えることもできます。

宿直勤務の場合はたとえ仮眠中であっても何か起きた場合はそれに対して適切に対応しなければなりません。

しかし対処の内容は簡素なものにしなければならず、電話がかかってきた際に通常どおりしっかりとした対応を取らず、営業時間外だと伝えればいいだけという内容になります。

給料が違う

深夜勤務と当直勤務では給料の額が全く異なります。

深夜勤務は深夜労働となるので通常の1.25倍の賃金を支払わなければなりませんが、当直勤務の場合は通常の賃金の3分の1です。

深夜勤務は労働時間に含まれるので、場合によっては残業代や休日出勤手当などの割増賃金も発生することもあります。

また、当直勤務の勤務時間を労働時間として組み込むことができず、当直勤務の時間も含めて1週間の労働時間が40時間を超えても残業代は発生しません。

仮眠の有無が違う

当直は勤務中に睡眠を取ることが可能です。しかし夜勤では仮眠を与える義務はなく、勤務時間に応じた休憩が与えられます。

当直勤務の重要な条件として仮眠ができるかどうかで、労働基準監督所に許可を出す際も仮眠できるだけの睡眠施設っているかどうかも重要な基準となります。

深夜勤務の場合は、仮眠が取れるだけの休憩時間がある場合以外は仮眠をするための睡眠施設を整える必要はありません。

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まとめ

宿直勤務について紹介しました。宿直勤務は待機中心で負担が少ない仕事である一方、給料は通常の3分の1となります。

また当日勤務して宿直勤務をした後翌日また通常勤務をすることもあり宿直勤務の内容によっては非常にハードな2日間となってしまうこともあります。

最近ではセンサーを使って自動的に警備をするシステムが確立されており、宿直勤務をする仕事は病院や介護施設等に限られるようになってきました。

宿直勤務といっても実際にやることが多い場合は、宿直勤務の許可が降りずに深夜勤務となる場合もあります。

宿直勤務と深夜勤務の違いをしっかりと理解した上で、適切な対処をするようにしましょう。