従業員が業務中にケガを負ったり、業務が原因で病気を発症したりして、仕事を休まざるを得なくなった場合、労働者災害補償保険(以下、労災保険)から休業補償を受けられる可能性があります。

会社としては、従業員が休業中の生活で不安を抱くことの無いよう、迅速な対応や手続きが求められます。この記事では、労働災害が起こってしまった場合の休業補償の仕組みや手続きなどについて、わかりやすく解説します。

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労働災害の休業補償とは?

労働災害による怪我や病気により働けなくなった従業員に対し、生活資金や治療費に充てるお金を支給する補償制度です。

本来であれば、労働災害が発生した場合、使用者は休業補償として療養中平均賃金の60%を従業員に支払い続けなければなりません。そこで、療養期間中いつまでも補償し続ける負担を軽減するために、労災保険から支給されるのが休業補償ということになります。

労災保険とは

業務上または通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡に対して労働者及びその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。従業員を一人でも雇用する事業主は加入が義務付けられており、保険料は事業主が全額負担するため、給与からの天引きはありません。

労災保険の保険料率は年度ごとに見直され、過去の労災事例などを勘案して事業ごとに細かく設定されています。令和4年度は、最も高い「金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業」で88/1000、最も低い「通信業、放送業、新聞業又は出版業」などで2.5/1000となっています。

労災の補償対象は正社員に限らず、有期契約社員、パート、アルバイトも対象となります。ただし、派遣受け入れ従業員(派遣元で対象)、雇用関係にない請負の場合は対象外となります。

業務災害と通勤災害

労災には業務災害と通勤災害の2種類に分けられます。通勤災害に関しては別記事で詳しく解説するため、本記事では業務災害のみを扱います。

業務災害が認められるためには「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件を満たす必要があります。

業務遂行性は、会社と従業員が雇用関係にあり、使用者の支配下・管理下で従業員が業務に従事しているかどうかを指します。たとえば、外回りの営業職は顧客との商談で一時的に会社から物理的に離れますが、会社の管理下にあることには変わりありません。

また、業務起因性は従業員の怪我・病気・死亡と業務の間に、因果関係が生じていたかを判断します。たとえば、設備老朽化に伴う燃焼事故の発生によって怪我を負った場合は、業務起因性が認められます。

どちらも事案ごとに、個別具体的に判断されるため、明確な判断基準を示すことはできませんが、以下に参考までに業務遂行性及び業務起因性が否定された事例を紹介します。なお、業務遂行性が認められなければ、そもそも業務起因性は認められません。

業務遂行性の対象外事例

  • 就業時間中の私的行為やいたずらに伴う怪我
  • 従業員の故意によって誘発された災害
  • 従業員同士の人間関係が原因で負傷や怪我を負った場合

業務起因性の対象外事例

  • 心筋梗塞をはじめとする就業時間中の持病悪化
  • 飲酒しながら作業を行い泥酔による怪我
  • 天災地変による災害(すべて否定されるわけではありません)

休業補償給付の支給要件は?

業務災害と認定された場合に支給される休業補償の支給条件は、以下の3点です。3つの要件をすべて満たさないと休業補償は給付されません。

  • 業務上の病気やケガが原因で療養中であること
  • 療養のために、業務に従事できないこと
  • 療養中に、会社から賃金を受けていないこと

療養中というのは入院に限らず、自宅での静養も含みます。通院費や治療費などは、労災保険から療養補償給付として支給されます。

待期期間中は会社から補償が必要!

休業補償給付は、療養による休業が通算して3日以上続いた場合に、4日目から支給されます。支給対象外となる最初の3日間を「待期(待機ではありません)期間」と呼びますが、この待期期間は必ずしも所定労働日である必要がなく、休日を含めて勤務していない日が3日以上あれば成立します。

なお、業務外の傷病で休業した場合に健康保険から支給される「傷病手当金」の待期期間は、「連続3日以上」であるため、「通算3日以上」の休業補償給付と混同しないようにしましょう。

このように、待期期間の3日間については、従業員は労災の補償が受けられないため、労働基準法の原則どおり事業主が休業補償を行う義務があります。

なお、法定の休業補償は平均賃金の60%となっていますが、100%の補償が望ましいとされており、実際に100%の賃金を支給するのが一般的となっています。3日間の休業補償額を出し渋ったばかりに従業員が不信感を抱き、将来的に離職につながることは避けるべきでしょう。

休業補償給付の金額は?

休業補償給付の支給額は給付基礎日額の60%です。給付基礎日額とは、事故発生日もしくは発病確定日の直前3ヶ月に対象従業員に支払われた賃金総額(賞与などを除く)を期間の暦日数で割った額です。

なお、令和2年9月に労災保険法の改正があり、複数の会社で雇用されている従業員の場合、すべての勤務先の賃金の合計額を元に給付基礎日額を計算することとなりました。従来は業務災害の原因となった勤務先の賃金のみで計算されていましたが、より手厚い補償となりました。

また、休業補償給付とは別に、「特別支給金」として給付基礎日額の20%が支給されるため、実質は給付基礎日額の80%が支給されることになります。

休業補償給付の支給期間はいつまで?

具体的な期間の上限はなく、基本的には要件に該当する限り支給されることになります。

ただし、「骨折は完治したが痛みは残る」など、症状が安定しており医療行為をもってそれ以上の回復が見込めない場合は、「治癒」と判断されます。そして、残った症状の障害等級により障害補償給付、障害補償一時金に切り替わることで、休業補償給付は打ち切られます。

また、療養開始から1年6ヶ月が経過しても完治せず、その症状が障害等級第1級~第3級に該当する場合は、休業補償から傷病補償年金に切り替わります。1年6ヶ月経過時点の症状が、障害等級第1級~第3級のいずれにも該当しない場合は、引き続き休業補償給付が支給されます。

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休業補償給付の支給手続き

休業補償給付を受け取るためには、労働基準監督署への書類提出と調査を受けなければなりません。支給申請は従業員本人が労基署に対して行いますが、会社も業務災害であることの証明をする必要があります。

休業補償給付の支給の流れ|8号様式とは?

休業補償給付の申請手続きは、以下のとおりです。

  1. 従業員が労働災害の内容や経緯を企業側へ報告
  2. 従業員が労働基準監督署へ休業補償給付支給請求書を提出
  3. 労働基準監督署による調査
  4. 労働基準監督署が企業側へ支給・不支給の決定を通知
  5. 従業員の指定口座へ入金

休業補償の受給に必要な書類は「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」で、従業員および会社が必要事項を記入します。8号様式のフォーマットは、厚生労働省のサイトからダウンロードできます。

受任者払いを活用しましょう

受任者払いは、労災保険から振り込まれる給付金を、先に会社が従業員に立て替えて支払い、後日支給される休業補償給付金などの振込先を会社の口座に指定する制度です。

休業補償金の支給は労働監督基準書へ書類を提出から1か月近く掛かるため、支給されるまで従業員は生活費を別途確保しないといけません。そこで、受任者払いを活用することで、従業員は、収入が途切れるという経済的不安から解放され、安心して治療に臨むことができます。

受任者払い制度を利用するためには、労働基準監督署へ休業補償給付支給請求書を提出する際、「受任者払いに係る委任状」及び「受任者払いに関する届出書」を添付します。様式は管轄の労働局・労基署によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

なお、実際に従業員に立て替え払いをする前に委任状などを書かせると、従業員へ不信感を与えることになるため、手続きの順番には注意が必要です。

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労働災害についてよくある質問

労働災害に関してよく聞かれる質問をQ&A形式でまとめました。

Q
労災保険の休業補償のお金はいつ入るの?
Q
休業補償期間中に有休を取得できる?
Q
休業補償期間中に就業したらどうなる?

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労働災害防止に勤怠管理システムを

会社は、従業員が安全かつ健康に労働できるようにするため安全配慮義務を負っています。事故によるケガなどはもちろん、長時間労働による心身の疾患に対しても当然責任を負わなくてはなりません。

勤怠管理システムの導入で、従業員の勤怠状況をリアルタイムで把握でき、過重労働に陥りそうな従業員を早期にケアできます。

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