スーパーフレックスを上手に活用するには、コアタイムを無くすことによって生じる違いを押さえることが必要です。

スーパーフレックスはフルフレックスとも呼ばれ、日々の労働時間の設定を完全に労働者に委ねる制度です。

新型コロナウィルス感染症防止の観点も相まって、ここ数年でテレワークや在宅ワークが大きく普及しました。

従来から導入してきたフレックスタイム制についても、より柔軟性を持たせて欲しいというニーズが高まっていることもあり、新たにスーパーフレックス制度を導入する企業が増えてきています。

スーパーフレックスは、労働者にとって魅力的なばかりでなく、先進的な企業イメージを生み出せるという意味で会社にとってもメリットの大きい制度です。

この記事ではスーパーフレックスのメリット・デメリット、運用に失敗しない3つポイントを解説します。

スーパーフレックスは労働者が完全に労働時間を決められる

スーパーフレックス制度は、コアタイムの無いフレックスタイム制です。
コアタイムは、就業時間のうち、会社が必ず出勤しなければならない時間と定めた時間帯です。

コアタイムについての詳しい解説は、こちらをご覧ください。
>>フレックスタイム制における、失敗しないコアタイムの決め方

スーパーフレックス制度では、コアタイムのあるフレックスタイム制と比較すると、労働時間の自由度が高く、労働者にとってはメリットが多い労働時間制度です。

一方、勤怠管理が曖昧な状態で運用してしまうと、使用者側にとっては制度のデメリットばかりが表に出てきてしまいます。

さらに、テレワークや在宅勤務と併用するケースも多いため、労働者の勤怠管理そのものが非常に煩雑になります。

スーパーフレックスのメリット|労働者の働き方が柔軟になる

基本的には、以下のようにコアタイムありのフレックスタイム制のメリットが拡大されます。

  1. 満員電車などの通勤ラッシュを回避できる
    • 通勤や帰宅ラッシュを回避できるため、労働者の疲労蓄積を防止すると同時に、ストレス軽減の効果も期待できます。
  2. 繁忙期と閑散期に合わせて、勤務時間を調整できる
    • 繁閑に応じた労働時間の調整が可能で、特に閑散期に勤務終了時刻までダラダラ拘束されることがなくなります。
  3. メリハリのある仕事ができるので生産性が向上する
    • 体調の良し悪しなど、労働者は自分のその日の状態に応じてメリハリのある仕事が可能になり、結果、会社全体の生産性向上にも期待できます。
  4. 長時間労働を防止して無駄な残業代を削減できる
    • 一般的なフレックス制度同様、清算期間(対象期間)のトータルで労働時間を考えるため、時間外労働と残業代の削減につながります。
  5. 労働者のワークライフバランスの向上
    • 一般的なフレックスタイム制と比較して、労働者の働き方がより多様で柔軟になります。
  6. 優秀な人材の確保や採用につながる
    • 応募する側にも関心の高いスーパーフレックス制度を導入することで、自己管理能力の高い人材が集まりやすく生産性の向上が期待できます。

フレックスタイム制全般に関する解説は、こちらをご覧ください。
>>フレックスタイム制|メリットを活かしながらデメリットに対策を

フレックスタイム制における残業代計算の解説は、こちらをご覧ください。
>>労働者に誤解されないフレックスタイム制における残業代計算

スーパーフレックスのデメリット|他の規定の見直しが発生する

労働者にとってはデメリットを感じにくいスーパーフレックス制度ですが、使用者にとっては以下のような見逃せないデメリットも存在します。

  1. コミュニケーションの不足
    • 労働時間がバラバラになるため、社内の情報連携やコミュニケーションが不足しがちになり、放置するとコミュニケーション不足が原因で、社内のトラブルにつながる可能性が高まります。
  2. 取引先からの信頼低下
    • 緊急な連絡が取引先などの外部からあった際、担当者が出社していなければ対応できないケースが出ます。
      突発的なトラブルやクレームに対応できない場合、取引先などの信頼が低下します。
  3. 勤怠管理が煩雑になる
    • 労働者ごとに日々の労働時間がバラバラになるため、労務管理や残業代の計算が煩雑になります。
  4. 規定の見直しが必要
    • スーパーフレックス制度特有のデメリットとして、既存の就業規則などの規定と矛盾が生じ、見直しが必要となる可能性があります。

最後の「規定の見直しが必要」というデメリットについて、少し詳しく解説します。

既存の規定と矛盾が生じるスーパーフレックス

スーパーフレックス制度特有のデメリットとして、休憩の与え方や欠勤について、既存の就業規則などの規定と矛盾や不都合が生じてくる可能性があります。

スーパーフレックス制度においては、労働者は会社で設定した所定労働時間内で自分の働く時間帯を自由に調節できます。

導入前であれば、午後から出勤する場合は、午後半休を取得する必要がありましたが、制度導入後は労働者は有給休暇を取得せず、時間調整することで対応可能になります。
よって、どうしても労働者の有給休暇の取得率は低下する傾向にあります。

また、休憩時間には「労働時間6時間を超える場合には最低45分、8時間を超える場合には最低1時間」という労働時間に応じた付与義務がありますが、スーパーフレックスの場合は各自の労働時間がバラバラになります。

よって、就業規則に固定の休憩時間しか記載がない場合は、制度導入に合わせて休憩時間の規定を見直す必要が出てきます。

スーパーフレックスはどんな場合に採用すべきか

制度移行へのインパクトを考えると、新しく立ち上げる会社や部署で、導入のデメリットをクリアできることが明らかな場合は、スーパーフレックスを採用しても問題ありません。

労働者からの要望が多いからという理由のみをもって、すぐにスーパーフレックス制度を導入するのは早計です。

理想的なケースは、現にフレックスタイム制の運用がある程度上手くいっており、コアタイムを廃止するほうがメリットが大きい場合の採用です。

コアタイムのあるフレックスタイム制からスーパーフレックス制度への移行は、自由度が高まる労働者から歓迎されやすいことは容易に想像できます。

逆に、スーパーフレックス制度からコアタイムありのフレックスタイム制への移行は、労働者の反発を招きやすく社外からの印象も良くありません。
一旦スーパーフレックス制度に移行すると、後戻りは難しいことに留意する必要があります。

ワークデスク
ワークデスク

スーパーフレックス活用の3つのポイント

使用者にとっても、労働者にとっても、有益なスーパーフレックス制度のメリットを最大限に活用するためのポイントを3つ解説します。

ポイント1:勤務場所も自由に

コアタイムを設定する最大の理由は、取引先などの社外対応や社内会議などで「全員がオフィスに揃う時間が必要である」ということです。

逆に考えると、コアタイムを設定せず「全員がオフィスに揃う必要がない」のであれば、何も勤務場所を固定する必要もないということになります。
テレワークや在宅ワークなどを認めて、より労働者に便宜を図っていくのもいいでしょう。

現在のように、新型コロナウィルス感染症予防対策の観点からも、テレワークや在宅ワークに対する社会的なニーズも高まっています。

自社だけではなく、取引先などにおいても同様にテレワークや在宅ワークを求められる環境であり、社外と一緒になって連絡方法などを見直す良い機会につながる可能性もあります。

ポイント2:休憩の規定見直しに注意

休憩一斉付与の適用除外とするため、労使協定の締結が必要となります。

休憩は一斉付与の原則があります。
一般的なフレックスタイム制の場合は、コアタイムの中に休憩時間を設定することでこの原則に沿った運営ができています。

しかし、スーパーフレックス制度を導入すると、運送業、金融・保険業、映画製作業など休憩一斉付与の適用外事業でない限り、この原則に対して矛盾が生じてしまいます。

そこで、制度導入に合わせて労使協定を締結し「一斉付与の対象外となる労働者の範囲」を明確にしておく必要があります。

なお、みなし休憩時間のような規定は許されませんので、勤怠管理ツールなどを活用し、労働者の休憩時間をしっかり管理する必要があります。

ポイント3:フレキシブルタイムは深夜労働を避ける

フレキシブルタイムは、短過ぎるとスーパーフレックス制度の意義が失われますし、長過ぎると光熱費の増加や深夜労働につながります。

深夜労働は22時~5時であり、1日の最低労働時間を1時間と考えると、フレキシブルタイムは5~21時の間で収めておくのが無難です。

ただし、深夜労働や光熱費などを気にしないのであれば、フレキシブルタイムを一切設定しないという選択肢もあります。

スーパーフレックスにおける疑問を解決

スーパーフレックス制度を運用していると、前述の休憩以外にも既存の規定や労働基準法上の取り扱いがどうなっているか、疑問がたくさん出てきます。

Q1. 労働時間ゼロの日の取扱いはどうなる?

スーパーフレックス制度ではコアタイムがありませんので、遅刻や早退という問題は当然発生しません。
そもそも勤務時間が0、つまり出勤しなかった場合は、欠勤と取り扱っていいのでしょうか?

A1. 欠勤と取り扱ってよいが、欠勤控除はできない

1日の最低労働時間を就業規則などで定めている場合は、欠勤として取り扱うことも可能です。
就業規則などで定めが無ければ、ニュアンス的には「不就労日」になります。

ただし、いずれの場合も、清算期間のトータルで見た場合、労働者がリカバリして所定労働時間をクリアする可能性が大いにあります。
よって、当然に即日欠勤控除とすることはできませんので、注意してください。

Q2. 極端な労働時間の設定をされた場合は?

例えば、ある労働者が清算期間の前半に労働時間を集中させて、途中で定められた所定労働時間を全てクリアしました。
残りの清算期間終了日まで一切出勤しない(逆のパターンも同じ)と主張した場合、会社としては認めざるを得ないのでしょうか?

A2. 1日の最低労働時間を設定することで、ある程度防止することは可能

フレックスタイム制は、労働時間だけはなく労働日の設定まで労働者に委ねる制度ではありません。
しかし、スーパーフレックス制度の場合ではこのようなケースが発生します。

定められた所定労働時間をクリアしている以上、労働の強制はできませんので、ルール上は可能になります。

ただし、就業規則などで労働日における最低労働時間を設定することで、ある程度はこのようなケースを防止することは可能です。

スーパーフレックスの導入には、勤怠管理システムが必須

コアタイムのないスーパーフレックス制度では、どうしても社内のコミュニケーションがより不足しがちになります。

テレワークや在宅ワークなどの普及もあり、今やオンラインコミュニティツールの活用は事業者にとって不可欠なツールです。

コミュニティツールと連携できる勤怠管理システムを導入することで、社内のコミュニケーション不足を解消しつつ、バラバラに取得される休憩時間や出退勤の管理にも対応可能になります。

勤怠管理システムを導入して、スーパーフレックス制度を上手に活用してみてはいかがでしょうか。
勤怠管理システムの選定・比較ナビでは、豊富なラインナップで勤怠管理システムを紹介していますので、ぜひ一度ご覧ください。

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