会社で従業員を雇って経営している以上、勤務時間の管理は必ずしなければなりません。
勤務時間の管理方法と言えば、ひと昔前ではタイムカードが一般的でした。
そして、電子機器の発達と共にどんどん便利な勤怠管理システムが出てきました。
この記事では、様々なタイプの勤怠管理システムやタイムカードを紹介して、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
タイムカードとは
タイムカードは、まだコンピューターが普及していない頃から行われている出勤時間と退勤時間を記録している紙のことを挿しますが、広い意味では紙に打刻するう機械のことも含めてタイムカードと呼ぶ事もあります。
機械を使って打刻する事もあれば、手書きで紙に書く事もありますが、手書きの場合はあまりタイムカードとは呼ばないことが多いです。
使い方
タイムカードは専用の少し厚い紙を機械にいれることで、時間がスタンプのように押されます。
機械に対しての専用の紙であることで、曜日や出勤時に押す場所や退勤時に押す場所が正確になります。
お昼休みに入った時間と、終わった時間も打刻することもあります。
大抵の場合、不正防止のためマネージャーが毎日出勤時間と退勤時間が間違ってないかチェックをします。
また、機械に表示される時間もパスワードを入力しないと変えられないようにするなど、不正防止のための機能も付いていたりします。
最近では電波時計で、自動的に正確な時間に調整してくれるタイプも出ています。
保存期間と計算
タイムカードに書かれてある時間を全て合わせて、給料を一人づつ計算しなければなりません。
さらに、単純な足し算と掛け算ではなく、残業手当、休日出勤手当、深夜勤務手当、交通費などを絡ませて計算しなければなりません。
最近はパソコンに送信して一瞬で計算したり、タイムカードに打刻する機械の中で計算してくれる機能がついているものもあるので、計算はだいぶ楽になりました。
なお、タイムカードは3年間の保存義務がありますが、パソコンの中に全ての従業員の勤務情報を取り込んでいるとタイムカードは破棄しても問題ありません。
従業員の数が多くなると、保存しなければならない紙の量も大量となってしまいます。
かつて大勢の人が働いている大きな工場では、倉庫にタイムカードが入った段ボールが山積みになって置かれていました。

タイムカードと勤怠管理システム
タイムカードに従業員がどのくらい働いていたか記録するのは会社の義務です。
しかし、最近は完全にデジタル化して、タイムカード自体が無くなって来ています。
保存義務がある紙を出さなくて良くて、スペースの節約にもなるので、それだけでも大きなメリットと言えるでしょう。
以前の主流は手書き
今は指紋認証などの生体認証や、専用ICカードによる自動登録なども出来るようになっていますが、コンピューター技術が発展する前まではノートに手書きで書くことが主流でした。
出勤した時間と退勤時間を従業員が自ら記入していき、マネージャーが毎日その時間をチェックします。
コンピューターを使った勤怠管理システムは設備を作るのにお金がかかってしまいますが、手書きは全くお金がかかりません。
そのため、事務所を開いたばかりの部署などは手書きで管理しているところも一部ではまだ残っています。
手書きは手間がかかるものの、無料で導入出来るので、社員の数が少ないところなどではわざわざデジタル化する必要もないのかもしれません。
現在はアプリ、デジタル化
現在の勤怠管理システムではデジタル化が当たり前となっています。
最初に設備投資はかかりますが、紙の保管をしなくても良いということと、計算があっという間に出来るということが圧倒的なメリットです。
従業員が多い会社で、手書きや、タイムカードの打刻によるアナログな勤怠管理システムだと計算が大変です。
パートタイムの短時間勤務だとまだ楽なのですが、正社員だと残業代や休日代の計算や、所得税や厚生年金などでどのくらい引くのかを間違いの無いように計算しなければなりません。
従業員が多い会社だと、この計算だけで1日どころか数日間使ってしまいます。
当然ながらこの計算をしている期間に対しても人件費がかかるので、長い目で見ると最初に設備を導入してデジタル化した方が安上がりなのです。
生体認証などの大掛かりな設備を導入しなくても、パソコンにソフトをインストールしてパスワードの入力だけで入力が出来るシンプルなシステムのものもあります。
会社によっては会社の従業員用の専用アプリや、Webサイトなどがあり、そこで自分の勤務状況を確認出来るシステムを作っているところもあります。
そこでは給与明細も見れるので、どんな手当が付いて、どんな税金や保険がひかれたのかも分かります。
そのため、給与明細の発行すらもしなくて良くなるのです。
タイムカードのメリット、デメリット
タイムカードで勤怠管理をするにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
デジタルの勤怠管理システムと比べて、どのようなメリットとデメリットがあるのかを紹介します。
職種や、仕事場の環境によってはタイムカードの方が都合が良い場合もあります。
タイムカードは現在日本ではほとんど普及していないということからも分かるように、デジタルの勤怠管理システムと比べてメリットは少ないです。
メリット 社員が少ない場合はむしろ楽
現在では事務所にパソコンがあることも当たり前になり、大容量のハードディスクも安く手に入ることが出来ます。
シンプルな勤怠時間のソフトをインストールするだけで全く費用も掛からず、従業員が多くいる職場ではタイムカードを使うメリットはほぼありません。
しかしあえてメリットを上げるとすると、タイムカードはシンプルな構造なので事故が起こりにくいということがあります。
パソコンによる管理だと、パソコンの調子が悪くなったり停電してしまえば使えなくなります。
また、インターネットを利用して会社の各部署のデータを人事部などに一括して送るという事をしている場合は、ネットの調子が悪いとうまく接続できないということもあります。
バッテリー内蔵のタイムカードや手書きであれば、このようなトラブルが起きることはほぼありません。
また、日本は災害大国なので、いつどこで地震や台風などの大きな災害に巻き込まれるか分かりません。
また、従業員の数が少ない職場や、勤務時間が安定していて毎日ほぼ確実に働く時間が決まっているという場合はタイムカードの方が楽な場合もあります。
例えば従業員が少ない場合は、勤務時間を確認するのに一目で過去の勤務状況が記録されたタイムカードを取り出すことが出来ます。
給与の計算をする人数も少ないので、わざわざデジタルの勤怠管理システムを導入する必要も無くなってくるでしょう。
他にも、普段からきっちりと勤務時間を決めていて、残業や休日出勤もさせずに、毎月同じ給料を払っているという会社でも、複雑な計算はしないので、デジタルの勤怠管理システムを導入する必要はないかもしれません。
実際に現在でもデジタルを導入していない職種として、教師などの職業が挙げられます。
教師の場合は労働時間とは授業時間のことであり、日によって時間が変わるということはほとんどありません。
そのため、毎月固定の給料を支払うだけで勤務時間の計算をする必要がありません。
計算はしなくても良いのですが、3年間は従業員の勤務状況を記録したものを保管しなければなリません。
勤務状況の記録のためだけに、いまだに手書きやタイムカードによる勤怠管理をしているのです。
デメリット 計算が大変
タイムカードによる勤怠管理では、以前は電卓を片手に足算をして、時間によっては残業手当を出すためには1.25倍にしたりとひとつづつ計算していました。
その後は、タイムカードの数字をパソコンに打ち込み、パソコンの中で自動計算するということもするようになりました。
電卓で計算するのも大変ですが、パソコンに打ち込むのも大変な事務作業です。
パソコンに打ち込んで記録しておけばまだ良いのですが、紙の場合は保管義務があるので、従業員のタイムカードだけで事務所の中で大きなスペースを取ってしまいます。
また、意外と負担になるのが、インク代と専用の紙代です。
古い機種となるとインクも紙も手に入らなくなってしまいますし、メーカーが生産中止を発表したら、勤怠管理システムを一新しなければなりません。
このようにデジタルによる勤怠管理システムと比較すると、メリットに対してデメリットが多いので、ほとんどの事業所はデジタルとなっているのです。
タイムカードでのトラブル
タイムカードでのトラブルは、デジタル化に移行しても引き続き起こり得る事もあれば、タイムカードならではのトラブルもあります。
タイムカードでのトラブルは社員にとっては給料に影響がある事なので、しっかりと注意しなければなりません。
また、会社にとっても、働いた分の給料を正確に払わないと法律違反となってしまいます。
ブラック企業だとい言われてしまって、そのようなイメージがついてしまうと、優秀な人材は集まって来なくなります。
計算ミスのふりをして、給料を安くすると、今は良いかもしれませんが、長い目でみるといずれ会社にとって大きなダメージになるかもしれないのです。
タイムカードの押し忘れ
タイムカードでのトラブルでよくあるのが、出勤していたのにタイムカードを押し忘れたということです。あるいは二重に押してしまい、見えにくくなってしまったという事もあります。
小さな職場であれば、マネージャーのサインと共に手書きで入力したりしますが、大きな職場では申請を出して修正依頼をお願いしたりしなければなりません。
出勤時に忘れていたという事であれば、まだ良いのですが、退勤を忘れたとなると厄介です。
時間が不安定な場合は、記憶を頼りに思い出さなければなりません。
ただ、これはタイムカードに限ったことではなく、生体認証を使ったデジタルな勤怠管理システムでも起こり得ることです。
デジタルだと、パソコンを閉じる時に誰か退勤していない人がいたりすると、何かアラートが表示される機能もあるソフトもあります。
タイムカードの改ざん
タイムカードはアナログであるがゆえに、他の従業員が代わりに打刻出来てしまいます。
そのため本当は遅刻だったのに遅刻では無くなった、ということもあり得ます。
また、社員側としても気をつけなければなりません。
デジタルだと、不正があればすぐに分かってしまいますが、手書きやタイムカードだと、不正があってもすぐには分かりません。
例えば、残業や休日出勤の手当がもらえていたのにもらえなかったという時は、証拠を探さなければなりませんが、大量の段ボールの中から自分のタイムカードを探さなければなりません。
このようにタイムカードのよる勤怠管理システムは、会社と社員の双方にとって不正が起こりやすいのです。

タイムレコーダーとタイムカード
タイムカードに時間を貼り付ける機器をタイムレコーダーと言います。
一番シンプルなのはタイムカードと呼ばれる専用の少し厚い紙に時刻だけを印字するものです。
種類 (タイムレコーダ)
まず、タイムレコーダーの中で一番一番シンプルなものが、タイムカードに出退勤の時刻を記入するものです。
このタイプは現場マネージャー等がちゃんと出勤した時間や退勤した時間に押されているかをチェックします。
つまり、いずれにしてもマネージャーのチェックが入るので、手書きでノートに時間を記入することとほとんど変わりはありません。
月末などの給料日になると、ここに書かれた数字を全部合計させて、時間外労働や休日出勤、深夜手当など勤務時間に関わる色々な手当も含めて計算します。
このようなシンプルなタイムレコーダーをひとつ進化させたのが、自動集計機能付きのタイムレコーダーです。
月末にマネージャーがする給与計算を代わりにやってくれます。
上位機種になると残業時間なども分けて表示してくれるタイプもあります。
自動集計機能付きのタイムレコーダーではパソコンは必要ありませんが、印字したタイムカードを3年間保管しておかなければなりません。
そのあと、パソコンにデータを全て打ち込めば、タイムカードの保管義務はありません。
タイムレコーダーを使用していると、パソコンは必要ないので、屋外や災害時にも使えるのではないかと思いがちですが、電池で動くタイプはあまり無いのでやはり電源は必要となります。
勤務場所が不安定で、パソコンの無い環境に社員達を集めるという職種の場合は、現場においておくと便利かもしれません。
この自動集計機能付きのタイムレコーダーがさらに進化して、パソコンにそのまま転送するというタイムレコーダーがあります。
パソコンに転送するので、タイムカードを毎月発行する必要が無く、印字するためのインクも必要ありません。
個人経営の店などだとパスワードを入力してパソコンに直接打ち込むのが、現在の主流ですが、本店で勤務時間を一括管理する場合などはパソコンに転送出来るタイムレコーダーを使うのが現在の主流です。
認証方法はICカードなどもありますが、一人づつカードを発行しなければならないので、指紋による生体認証と、顔認証が広く使われています。
ICカードを使う場合は、会社に入館するためのロックを解除するカードキーや、社員証と併用して使う場合が多いです。
さらに、運送会社などの乗り物を運転する会社などでは、アルコールチェックの機能などもタイムレコーダーに付随させる事も可能です。
安い中古でも大丈夫?
タイムレコーダーは毎日使うものではありますが、カードを差し込むだけなので、そんなに消耗するようなものではありません。
しかし、古いものだと、インクが手に入らなかったり専用用紙が手に入らなかったりする事もあります。
プリンターと同じで、本体価格が安くてもインク代が高価だと結局高くつくという事もあるので要注意です。
買えればまだ良いのですが、生産中止になったりすると、せっかく揃えたタイムレコーダーによる勤怠システムをまたはじめから違うものに作り直さなければなりません。
一方、紙やインクを使わない転送が出来るタイプだと、あまりにも古いとパソコンのOSと相性が悪くて連動出来ないという事もあります。
つまり中古かどうかは問題では無く、作られた年が古いと問題になる可能性があるという事になります。