移動時間は、単なる通勤時間と考えられる場合は労働時間に含まれません。ただし、移動中も管理監督者の指揮命令下にある場合は、労働時間とみなされます。

主な判断基準となる「指揮命令下にあるか否か」は、結局ケースバイケースであるため判例を確認しても中々判断しづらいです。

そこで、現実に起こりうる具体的なケースに当てはめて結論を押さえておくことで、いざ同じケースに遭遇した場合の備えになり、意図せず労働基準法違反を犯していたという事態を避けられます。

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労働時間と移動時間の関係を知っておく

そもそも労働時間とはどのような時間をいうのでしょうか?また、労働時間と移動時間との相関関係、移動時間とよく似ている通勤時間はどのように定義されているのでしょうか?

移動時間に関する個別の具体的なケースを考える上で、最低限知っておくべき事項を整理しておきましょう。

労働時間とみなされると賃金支払い義務が発生する

労働者に対して賃金の支払義務が発生する労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間です。労働基準法では労働時間に関する明確な定義づけはありませんが、厚生労働省労働基準局より以下のガイドラインが示されています。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること。

基発0120 第3号

会社の規定で労働時間をどのように定めていたとしても、実態として「使用者の指揮命令下にあった」場合は、労働時間とみなされます。

また労働基準法第32条では、労働時間は休憩時間を除いて1週間につき40時間、1日につき8時間を超えないことを原則と定めています。これを法定労働時間といい、使用者は必ず遵守しなければなりません。

就業場所への移動は、労働時間に含まれない

たとえば建設業従事者の場合、自宅から工事現場などに直行するケースが多くみられます。
このように自宅から現場(実際の就業場所)への移動は、通勤時間と同じとみなされて、基本的には労働時間には含まれません。

自宅から実際の就業場所へ移動する場合、使用者からの労務を提供する場所が、単純に会社の事務所から実際の就業場所に変わっただけにすぎず、通常の通勤時間と同じ扱いになるわけです。通勤時間は労働の準備行為という位置づけであり、使用者の指揮命令下に置かれる前段階と捉えられます。

一方、所定労働時間(始業時間から終業時間まで)中に、複数の現場を回る営業職のような場合は、業務のための移動であり、移動時間は労働時間に含まれます。

出張による移動は、拘束性で判断する

出張の移動については、目的地への距離に関係なく基本的には労働時間には含まれません。
業務で出張する場合、ある程度長時間の出張先への移動時間が伴います。場所によっては、前泊や後泊が必要になるなど、時間的に拘束される場合が出てきます。

出張の本来の目的は、出張先で取引先と面会するアポイント、打ち合わせ、商談など、業務を行うためです。しかし、出張の移動時間中は基本的に何をしても問題はなく、行動の自由度が高いのが一般的です。よって出張先への移動は、基本的に会社で業務を行なうための通勤と同じ性質と捉えられます。

下記は、海外出張をめぐり、出張による移動は労働時間には含まれないとされた判例です。

移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実勤務時間に当たると解するのは困難であることから、これらの条項から直ちに所定就業時間内における移動時間が時間外手当の支給対象となる実勤務時間に当たるとの解釈を導き出すことはできない。

横河電機事件 東京地裁 平成6年9月27日判決

ただし、出張による移動そのものに、特別な業務が含まれている場合は、労働時間に含まれます。例えば、「物品や重要書類の運搬を目的とした出張」などがあります。

この場合は、移動中においても物品や重要書類の管理責任義務が生じるため、業務中であり労働時間とみなされます。つまり、出張による移動時間については、その時間における拘束性で判断します。

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移動時間が労働時間なのか問題になる6つのケースを検証

移動時間が労働時間に含まれるかどうかの判断について、問題になる具体的な6つのケースを解説します。ポイントは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間か」という視点です。

ケース結論
朝礼のため会社に寄ってから現場に向かう場合労働時間に含まれる
自動車の運転を命じられている場合労働時間に含まれる
顧客の物品を預かって出張先に向かう場合労働時間に含まれる
在宅勤務者が営業周りをする場合労働時間に含まれる
チーム内の申し合わせで社用車に乗って現場に向かう場合労働時間に含まれない
出張移動中に特に急を要しない業務を行う場合労働時間に含まれない

ケース1:朝礼のため会社に寄ってから現場に向かう場合

Aさんは会社と異なる現場での作業に従事していますが、今回は現場に直行するのではなく、一旦会社に出社して朝礼だけ行って現場に向かいました。

結論:労働時間に含まれます。

このケースでは、朝礼に出席した時点で既に業務は開始されており、所定労働時間内です。使用者の指揮命令下に置かれている時間と考えられます。よって、その後の移動についても、業務中の移動時間に該当し労働時間に含まれます。

なぜ「パート・アルバイトは休憩不要」と誤解されるのか

正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、「労働時間6時間を超える場合は最低45分の休憩」が必要です。

パート・アルバイトの場合、正社員に比べて労働時間が短く、休憩が必要となる6時間に満たないケースも多くみられます。そのため、いつの間にか「パート・アルバイトには休憩不要」という誤解が広まってしまったようです。

所定労働時間が6時間のパートが1時間の残業をした場合は、実労働時間は計7時間になるため、終業までに少なくとも45分の休憩時間を確保しなければなりません。ルール化が徹底されていない事業場の場合、突発的な残業で休憩が必要になっても付与しないまま残業させてしまうケースが少なくありません。

ケース2:自動車の運転を命じられている場合|含まれる

Bさんは自宅から現場まで自家用車で直行直帰していますが、経路上にある管理監督者(上司)Cさんの自宅に寄って送迎することを命じられていました。

結論:労働時間に含まれます。

このケースでは管理監督者の送迎という具体的な業務を命じられていますので、自宅から現場までの移動時間は、単なる通勤時間ではなく労働時間に含まれます。

なぜ「パート・アルバイトは休憩不要」と誤解されるのか

正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、「労働時間6時間を超える場合は最低45分の休憩」が必要です。

パート・アルバイトの場合、正社員に比べて労働時間が短く、休憩が必要となる6時間に満たないケースも多くみられます。そのため、いつの間にか「パート・アルバイトには休憩不要」という誤解が広まってしまったようです。

所定労働時間が6時間のパートが1時間の残業をした場合は、実労働時間は計7時間になるため、終業までに少なくとも45分の休憩時間を確保しなければなりません。ルール化が徹底されていない事業場の場合、突発的な残業で休憩が必要になっても付与しないまま残業させてしまうケースが少なくありません。

ケース3:顧客の物品を預かって出張先に向かう場合|含まれる

Dさんは遠方への出張のため終業後に目的地に向けて出発しましたが、出張中の業務に顧客から預かっている修理品の返却も含まれていました。

結論:労働時間に含まれます。

終業後の出張先への移動であっても、重要な物品を管理しながらの移動は、業務上の緊張から解放されているとは言えません。よって、指揮命令下に置かれている移動時間とされ、労働時間に含まれます。

なぜ「パート・アルバイトは休憩不要」と誤解されるのか

正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、「労働時間6時間を超える場合は最低45分の休憩」が必要です。

パート・アルバイトの場合、正社員に比べて労働時間が短く、休憩が必要となる6時間に満たないケースも多くみられます。そのため、いつの間にか「パート・アルバイトには休憩不要」という誤解が広まってしまったようです。

所定労働時間が6時間のパートが1時間の残業をした場合は、実労働時間は計7時間になるため、終業までに少なくとも45分の休憩時間を確保しなければなりません。ルール化が徹底されていない事業場の場合、突発的な残業で休憩が必要になっても付与しないまま残業させてしまうケースが少なくありません。

ケース4:在宅勤務者が営業周りをする場合|含まれる

営業職Eさんは在宅勤務となり、朝自宅で作業後に出社することなく客先を回り、帰宅後にまた自宅で作業を行って業務を終えました。

結論:労働時間に含まれます。

朝の自宅作業から帰宅後の自宅作業までを含めて1日の業務であると判断できるため、自宅から最初の客先および最後の客先から自宅までの移動時間は労働時間に含まれます。

なぜ「パート・アルバイトは休憩不要」と誤解されるのか

正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、「労働時間6時間を超える場合は最低45分の休憩」が必要です。

パート・アルバイトの場合、正社員に比べて労働時間が短く、休憩が必要となる6時間に満たないケースも多くみられます。そのため、いつの間にか「パート・アルバイトには休憩不要」という誤解が広まってしまったようです。

所定労働時間が6時間のパートが1時間の残業をした場合は、実労働時間は計7時間になるため、終業までに少なくとも45分の休憩時間を確保しなければなりません。ルール化が徹底されていない事業場の場合、突発的な残業で休憩が必要になっても付与しないまま残業させてしまうケースが少なくありません。

ケース5:チーム内の申し合わせで社用車に乗って現場に向かう場合|含まれない

Fさんは会社と異なる現場での作業に従事していますが、現場に向かうために会社に立ち寄り、チームメンバーと共に社用車に乗り込んで移動しています。ただし、これは会社からの指示ではなく、チーム内の話し合いで決めたことであり、さらに現場に向かうまで、特に会社から業務を命じられているわけでもありません。

結論:労働時間に含まれません。

このケースでは、会社から「現場に向かうには、先に会社に出社して社用車を使うように」など、具体的な指示が出されていません。会社への立ち寄りは、あくまでもチーム内(従業員間)での取り決めであるため、強制力のない「任意の立ち寄り」と判断されます。

会社が単に現場への移動手段として、社用車の使用を許可しているに過ぎません。結果的に自宅~会社~現場という通勤経路になっているだけであるため、使用者の指揮命令下に置かれている時間とはいえず、労働時間に含まれません。

なぜ「パート・アルバイトは休憩不要」と誤解されるのか

正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、「労働時間6時間を超える場合は最低45分の休憩」が必要です。

パート・アルバイトの場合、正社員に比べて労働時間が短く、休憩が必要となる6時間に満たないケースも多くみられます。そのため、いつの間にか「パート・アルバイトには休憩不要」という誤解が広まってしまったようです。

所定労働時間が6時間のパートが1時間の残業をした場合は、実労働時間は計7時間になるため、終業までに少なくとも45分の休憩時間を確保しなければなりません。ルール化が徹底されていない事業場の場合、突発的な残業で休憩が必要になっても付与しないまま残業させてしまうケースが少なくありません。

ケース6:出張移動中に特に急を要しない業務を行う場合|含まれない

Gさんは公共交通機関で出張移動中、特に出張期間中に片づける必要がなく、且つ会社からの指示があったわけでもない業務を行いました。

結論:労働時間に含まれません。

このケースでは、急を要しない業務である以上、会社から暗黙の指示があったとみなすこともできません。

なぜ「パート・アルバイトは休憩不要」と誤解されるのか

正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態に関係なく、「労働時間6時間を超える場合は最低45分の休憩」が必要です。

パート・アルバイトの場合、正社員に比べて労働時間が短く、休憩が必要となる6時間に満たないケースも多くみられます。そのため、いつの間にか「パート・アルバイトには休憩不要」という誤解が広まってしまったようです。

所定労働時間が6時間のパートが1時間の残業をした場合は、実労働時間は計7時間になるため、終業までに少なくとも45分の休憩時間を確保しなければなりません。ルール化が徹底されていない事業場の場合、突発的な残業で休憩が必要になっても付与しないまま残業させてしまうケースが少なくありません。

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移動時間の適切な管理には、勤怠管理システムが有効

移動時間が労働時間に含まれるかどうかを状況に応じて判断し、労働者に不信感を抱かせないようにするためにも、労働時間の適切な管理が必要です。労働時間ではないと考えていた移動時間が、後に労働時間であったと判明すると、残業代の追加払いやコンプライアンス上の問題に発展するケースが考えられます。

勤怠管理システムを取り入れることで、移動時間の把握や出張時の労働時間の管理などが楽になります。勤怠管理システムの選定・比較ナビを活用し、自社にマッチした勤怠管理システムの導入をおすすめします。

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